デイサービスのトラブル事例と、その予防策・対応策を網羅的に解説。
認知症、転倒、金銭トラブルなど、利用者側・事業者側双方の視点から具体的な事例を紹介し、トラブル発生時の対処法や、事前にトラブルを防ぐためのポイントを分かりやすく説明します。
安心してデイサービスを利用するために、ぜひご一読ください。
デイサービスのトラブル事例

ここでは、デイサービスで実際に起こりうるトラブル事例を具体的に紹介します。
それぞれの事例から、どのようなトラブルが発生しうるかを理解し、未然に防ぐための対策を検討する上で役立ててください。
認知症による徘徊、暴力行為
認知症の利用者が、デイサービス施設内または外出中に徘徊し、行方不明になるケースや、他の利用者や職員に対して暴力行為を行うケースが報告されています。
徘徊による事故のリスクや、暴力行為による怪我のリスクは深刻です。
転倒・骨折事故の事例と原因
デイサービス施設内での転倒・骨折事故は、加齢による身体機能の低下や、施設内の環境要因などが原因で発生します。
段差や滑りやすい床、不適切な履物などが事故につながる可能性があります。
転倒による骨折は、高齢者にとって寝たきりや要介護状態となるリスクを高める重大な事故です。

デイサービス施設を選ぶ際には、転倒事故防止対策が適切に実施されているかを確認することが重要です。
金銭トラブルの事例と対応策
利用者間での金銭の貸し借りや紛失、職員による着服などが金銭トラブルの事例として挙げられます。
少額であっても、トラブルが大きくなる前に適切な対応が必要です。
金銭の管理方法や、トラブル発生時の対応手順を事前に確認しておくことが重要です。
職員の不適切な発言や対応の事例
職員による利用者への暴言や高圧的な態度、プライバシーの侵害、不適切な身体拘束などは、重大な人権侵害にあたります。
このようなトラブルは、利用者の心身に深刻な影響を与える可能性があります。
事業者は、職員への研修や指導を徹底し、再発防止に努める必要があります。
サービス内容と実際の内容の相違
パンフレットや契約内容に記載されているサービス内容と、実際に提供されるサービス内容に相違があるケースがあります。
例えば、リハビリテーションの内容や時間、レクリエーションの種類などが異なる場合です。
契約前にサービス内容を詳細に確認し、不明点があれば質問することが重要です。
送迎時の事故や遅延トラブル
送迎中の交通事故や、道路状況による遅延、送迎車の故障などがトラブルとして発生する可能性があります。
送迎時の安全確保は、デイサービス事業者にとって重要な責務です。
送迎ルートの確認や、車両の定期点検、運転手の健康管理などを徹底する必要があります。
デイサービスのトラブルを未然に防ぐための予防策


デイサービスにおけるトラブルは、利用者側と事業者側、双方に起こりうるものです。
トラブルを未然に防ぐためには、事前の準備や心構えが重要です。
利用者側、事業者側それぞれの立場から、具体的な予防策を見ていきましょう。
利用者側の予防策
利用者側ができる予防策として、以下の3つのポイントが挙げられます。
家族との連携
家族と日頃からコミュニケーションを取り、デイサービスの利用状況や本人の様子を共有することが大切です。
気になることや不安なことがあれば、すぐに相談し、対応策を一緒に考えることで、大きなトラブルに発展するのを防ぐことができます。
また、家族がデイサービスの状況を把握することで、緊急時にもスムーズな対応が可能になります。
事前の施設見学と情報収集
実際に施設を見学し、雰囲気やサービス内容を確認することは非常に重要です。
パンフレットやホームページの情報だけでなく、実際に自分の目で見て、職員と直接話すことで、より具体的なイメージを持つことができます。
見学時には、施設の設備や清潔さ、職員の対応、他の利用者の様子などをチェックしましょう。
また、口コミサイトや自治体の介護サービス情報なども参考に、複数の施設を比較検討することもおすすめです。
契約内容の確認
契約内容をしっかりと理解し、不明点があれば事前に質問しておくことが重要です。
サービス内容、料金、利用時間、キャンセル規定など、契約書に記載されている内容を丁寧に確認しましょう。
特に、料金体系や追加料金の発生条件などは、トラブルになりやすいポイントなので、しっかりと確認しておきましょう。
また、契約内容に変更が生じた場合は、速やかに書面で確認するようにしましょう。
事業者側の予防策
事業者側も、トラブルを未然に防ぐための対策を講じる必要があります。
以下の4つのポイントが重要です。
職員研修の徹底
職員の質は、サービスの質に直結します。
適切なケアを提供するために、介護技術に関する研修だけでなく、認知症ケア、コミュニケーションスキル、緊急時対応など、様々な研修を定期的に実施し、職員のスキルアップを図ることが重要です。
また、トラブル事例を共有し、再発防止策を検討する機会を設けることも効果的です。
安全管理体制の構築
利用者の安全を確保するために、施設内の安全管理体制を整備する必要があります。
転倒や事故を防止するための設備の点検、安全な送迎のための車両管理、感染症対策など、様々なリスクを想定し、適切な対策を講じることが重要です。
定期的な安全点検や避難訓練の実施、マニュアルの作成なども有効です。
利用者への丁寧な説明
サービス内容や利用料金、利用規約などを利用者や家族に丁寧に説明し、理解を得ることが重要です。
特に、認知症の利用者には、わかりやすい言葉や図を用いて説明するなど、工夫が必要です。
また、利用者の状態や希望に合わせたケアプランを作成し、定期的に見直しを行うことで、より適切なサービス提供につなげることができます。
適切なケアプランの作成
利用者の心身の状態、生活状況、希望などを丁寧にヒアリングし、個別のニーズに合わせたケアプランを作成することが重要です。
ケアプラン作成にあたっては、本人や家族の意向を尊重し、十分な説明と同意を得る必要があります。
また、定期的にケアプランを見直し、必要に応じて修正することで、より効果的なサービス提供につなげることができます。
ケアマネジャーとの連携を密にし、情報共有をスムーズに行うことも重要です。
立場 | 予防策 | 詳細 |
---|---|---|
利用者側 | 家族との連携 | 日々の様子や気になることを共有し、迅速な対応につなげる |
事前の施設見学と情報収集 | 施設の雰囲気やサービス内容を実際に確認し、複数の施設を比較検討する | |
契約内容の確認 | サービス内容、料金、利用時間などを理解し、不明点を解消しておく | |
事業者側 | 職員研修の徹底 | 介護技術、コミュニケーションスキル、緊急時対応などの研修を実施 |
安全管理体制の構築 | 施設内外の安全対策を徹底し、事故やトラブルを未然に防ぐ | |
利用者への丁寧な説明 | サービス内容や利用料金などをわかりやすく説明し、理解を得る | |
適切なケアプランの作成 | 利用者のニーズに合わせたケアプランを作成し、定期的に見直しを行う |
デイサービスでトラブルが起きた時の適切な対応


デイサービスでトラブルが発生した場合、落ち着いて適切な対応をすることが重要です。
感情的にならず、状況を整理し、関係各所と連携を取りながら解決を目指しましょう。
早期の対応が、問題の深刻化を防ぐ鍵となります。
トラブル発生時の初期対応
トラブルが発生したら、まずは落ち着いて状況を把握します。
何が起きたのか、誰が関わっているのか、怪我人はいないかなどを確認し、必要に応じて応急処置や安全確保を行います。
その際、可能な限り客観的な記録を残しておくことが重要です。



日時、場所、状況、関係者の発言などをメモや写真、動画などで記録しておきましょう。
関係各所への連絡
トラブルの内容に応じて、連絡する相手が異なります。
利用者同士のトラブルであれば、それぞれの家族への連絡が必要になります。
職員の対応に関するトラブルであれば、事業所の責任者への連絡が必要です。
以下に連絡先の一例となります。
関係者 | 連絡先 |
---|---|
家族 | 電話番号、緊急連絡先 |
デイサービス事業所 | 電話番号、責任者名 |
警察 | 110番 |
消防(救急) | 119番 |
市区町村の介護保険担当窓口 | 各自治体のウェブサイト等で確認 |
解決に向けた話し合い
トラブルの解決には、関係者間の話し合いが不可欠です。
それぞれの立場や意見を尊重し、冷静に話し合いを進めることが重要です。
感情的にならず、事実関係に基づいて話し合いましょう。



第三者を入れることで、よりスムーズな話し合いが期待できる場合もあります。
行政機関への相談
トラブルが事業者の不適切な対応によるものなど、話し合いで解決できない場合は、行政機関に相談することができます。
各市区町村には、介護保険に関する相談窓口が設置されています。
また、都道府県には、介護サービス苦情相談窓口があります。
弁護士への相談
トラブルが深刻で、法的措置が必要となる場合は、弁護士への相談も検討しましょう。
特に、損害賠償請求などを検討する場合は、弁護士に相談することが有効です。
法テラスなどの公的な機関を利用することで、費用を抑えて相談することも可能です。(参考:法テラス)
また、日頃からデイサービス事業者との良好なコミュニケーションを図り、信頼関係を築いておくことで、トラブル発生のリスクを軽減できる可能性があります。
まとめ
デイサービスにおけるトラブルは、利用者側と事業者側の双方に起こりうる可能性があります。
認知症による行動、事故、金銭問題、職員の対応、サービス内容の相違など、様々なトラブル事例が存在します。
トラブルを未然に防ぐためには、家族との連携、施設見学、契約内容の確認、職員研修、安全管理体制の構築などが重要です。
トラブル発生時は、初期対応を適切に行い、関係各所への連絡や話し合いを通じて解決を目指しましょう。
必要に応じて、行政機関や弁護士に相談することも検討しましょう。
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