失敗しない!うつ病の引っ越しで人生を好転させる方法【経験者が解説】

うつ病での引っ越しは「逃げ」ではありません。

本記事を読めば、心身の負担を最小限に抑え、人生を好転させる引っ越しの全手順が分かります。

経験者の解説で、あなたの不安を解消し、前向きな一歩を後押しします。

目次

うつ病で引っ越しを考えるあなたへ まず伝えたいこと

あなた

「もう、ここにはいたくない」「何もかも捨てて、どこか遠くへ行きたい」

うつ病のつらい症状のなかで、あなたは今、そんな風に感じているのかもしれません。

最初に伝えたいのは、うつ病のときの引っ越しは、決して「逃げ」ではないということです。

この記事では、私の経験も踏まえながら、あなたが新しい一歩を前向きに、そして無理なく踏み出すための具体的な方法を解説していきます。

「今の環境から逃げたい」その気持ち、決して間違いではありません

うつ病の治療において、「環境調整」は薬物療法や精神療法と並んで非常に重要な要素です。

ストレスの原因が明確な場合、その原因から物理的に距離を置くことは、回復への大きな一歩となり得ます。

例えば、職場の人間関係や過重労働が原因であれば、通勤経路や会社の近くの街並みさえもが、つらい記憶を呼び起こすトリガーになりかねません。

家族との関係がストレスになっている場合も同様です。

ですから、「逃げたい」と感じるあなたの心は、これ以上傷つきたくないと叫ぶ、自分自身を守るための大切なサインなのです。

その気持ちを、まずはあなた自身が認めてあげてください。

でも、焦りは禁物です うつ病のときの引っ越しで陥りがちな罠

一方で、うつ病の症状が心身に影響を与えているときの大きな決断には、慎重さも必要です。

「引っ越しさえすれば、すべてが解決するはずだ」という焦りや思い込みは、かえって状況を悪化させてしまう危険性もはらんでいます。

まずは、どのようなリスクがあるのかを冷静に把握しておくことが大切です。

うつ病のときの引っ越しで陥りがちな罠具体的な内容と注意点
衝動的な決断一時的な気分の高揚や焦りから、深く考えずに物件を決めてしまうケースです。
後から「日当たりが悪い」「騒音がひどい」「病院が遠い」など、療養に不向きな環境だったと後悔する可能性があります。
エネルギーの枯渇引っ越しは、心身ともに膨大なエネルギーを消耗する一大イベントです。
物件探し、荷造り、各種手続きなど、やるべきことの多さに圧倒され、途中で気力が尽きてしまい、症状が悪化する恐れがあります。
経済的な見通しの甘さうつ病による休職や退職で収入が不安定な場合、経済的な計画は非常に重要です。
敷金・礼金、引っ越し費用、新しい家具の購入費など、予想以上に出費がかさみ、金銭的な不安が新たなストレス源になることも少なくありません。
孤独感の増大慣れない土地で頼れる人がいない状況は、孤独感を深めやすいです。
特に、これまで通っていた病院やカウンセリング、気軽に話せる友人から離れることで、精神的な支えを失ってしまう不安も考慮する必要があります。
編集長

こちらの点をあらかじめ知っておくことで、対策を立て、失敗のリスクを最小限に抑えることができます。

引っ越しを決断する前に主治医や家族と確認したいこと

うつ病の治療中に「環境を変えたい」という気持ちから引っ越しを考えることは、決して珍しいことではありません。

しかし、引っ越しは心身ともに大きなエネルギーを消耗する一大イベントです。

後悔しないためにも、行動を起こす前に一度立ち止まり、ご自身の状況を客観的に見つめ直す時間を作りましょう。

うつ病の症状は安定しているか

まず最も大切なのが、ご自身の心身の状態です。

引っ越し準備から新生活への適応まで、一連のプロセスは想像以上のストレスを伴います。

症状が不安定な時期に無理をすると、悪化を招くリスクが非常に高くなるため、あなたの状態を客観的に診てくれている主治医に相談しましょう。

相談する際は、ただ「引っ越したい」と伝えるだけでなく、以下の点を具体的に話し、医学的な見地からのアドバイスをもらうことが重要です
  • 現在の治療段階で、引っ越しという大きな環境変化に耐えられる状態かどうか
  • 引っ越しを検討している理由(例:日当たりの良い部屋に移りたい、騒音から逃れたい)
  • もし引っ越す場合、治療計画にどのような影響があるか(転院先の紹介、薬の調整など)
  • 引っ越し準備や作業を進める上での注意点
編集長

主治医はあなたの回復を一番に願っている味方ですので、正直な気持ちを打ち明け、最適なタイミングを一緒に探ってもらいましょう。

協力してくれる人はいるか

うつ病の治療中は、気力や体力が低下し、複雑な判断や作業を一人でこなすのが難しくなります。

あなたの決断を支え、具体的な作業を手伝ってくれる協力者の存在は不可欠です。

ご家族やパートナー、親しい友人に、引っ越しを考えていることを相談してみましょう。

その際、漠然と「助けてほしい」と伝えるのではなく、何に困っていて、具体的に何をお願いしたいのかをリストアップして見せると、相手も協力しやすくなります
  • 物理的なサポート:物件の内見同行、荷造り・荷解きの手伝い、役所への手続き同行、不用品の運び出しなど。
  • 精神的なサポート:不安な気持ちを聞いてもらう、物件選びの相談に乗ってもらう、手続きで分からないことを一緒に調べてもらうなど。

もし、身近に頼れる人がいない場合でも、諦める必要はありません。

後の章で詳しく解説しますが、引っ越し業者のオプションサービスや家事代行、自治体の福祉サービスなど、有料・無料で利用できるサポートはたくさんあります。

経済的な見通しは立っているか

お金の心配は、精神的なストレスに直結し、うつ病の症状を悪化させる大きな要因の一つです。

療養に専念するためにも、経済的な基盤をしっかりと確認しておくことは極めて重要です。

まず、どれくらいの費用が必要になるのか、全体像を把握しましょう。

費用の種類内容費用の目安
物件の初期費用敷金、礼金、仲介手数料、前家賃、鍵交換費用、火災保険料、保証会社利用料など家賃の4~6ヶ月分
引っ越し業者費用荷物の運搬にかかる費用。時期や荷物量、距離によって変動。3万円~15万円程度
家具・家電購入費新しい住まいで必要になる家具や家電。5万円~30万円程度
不用品処分費粗大ごみの処分やリサイクル料金など。数千円~数万円
当面の生活費引っ越し直後の収入が不安定な場合に備えた、最低3ヶ月分以上の生活費。家賃+生活費の3ヶ月分以上

これらの費用を合計し、現在の貯金額でまかなえるかを確認します。

もし休職中であれば、傷病手当金や失業保険の受給状況と期間、障害年金や生活保護といった公的支援の利用可能性も併せて検討しましょう。

療養中は無理のない支払いが続けられるよう、「収入の3分の1」という一般的な目安よりもさらに余裕を持った物件を選ぶことを強くお勧めします。

【経験者が教える】うつ病でも無理なく進める引っ越しの全手順

うつ病の治療中に引っ越しをするのは、心身ともに大きなエネルギーを必要とします。

しかし、手順を細かく分け、一つひとつを「頑張らずに」クリアしていくことで、負担を最小限に抑えることが可能です。

私自身の経験も踏まえ、うつ病の特性に配慮した無理のない引っ越しの全手順を3つのステップに分けて具体的に解説します。

ステップ1 物件選びで失敗しないための重要ポイント

引っ越し後の生活の質は、物件選びで大きく左右されます。

特にうつ病の療養中は、住環境が心身に与える影響が非常に大きいため、焦らず慎重に選ぶことが何よりも大切です。

ここでは、療養生活を穏やかに送るための物件選びの重要ポイントをご紹介します。

日当たりと静かさは最優先でチェック

うつ病の療養において、日光を浴びることと静かな環境は非常に重要です。

内見の際は、できるだけ日中の明るい時間帯に訪れ、リビングや寝室の日光の入り具合を直接確認しましょう。

窓の向き(南向きが理想)だけでなく、隣の建物との距離や方角もチェックするのを忘れないでください。

また、うつ病の症状として聴覚が過敏になることもありますので、大通りや線路沿いを避け、壁が厚い鉄筋コンクリート(RC)造の物件を選ぶと安心です。

病院やスーパーへのアクセスも考慮する

心療内科や精神科への通いやすさは、治療を継続する上で不可欠な要素です。

自宅から無理なく通える距離か、バスや電車などの公共交通機関は利用しやすいか、事前に地図アプリなどで確認しておきましょう。

同様に、スーパーやコンビニが徒歩圏内にあると、気力が湧かない日でも最低限の食料を確保しやすくなります。

オンライン内見も積極的に活用しよう

うつ病の症状で外出が億劫だったり、遠方への引っ越しで何度も現地に足を運べなかったりする場合、「オンライン内見」は非常に有効な手段です。

自宅にいながら、スマートフォンのビデオ通話などを通じて不動産会社の担当者に物件を案内してもらえます。

気になる点があれば、その場で担当者に「窓からの景色を見せてください」「収納の奥行きをメジャーで測ってください」といったリクエストもできます。

ただし、実際の音や匂い、街の雰囲気は感じにくいため、最終候補に絞った物件だけでも、可能であれば一度現地を訪れるとより安心です。

ステップ2 荷造りや手続きを楽にするコツ

物件が決まったら、次に取り組むのが荷造りと各種手続きです。

これが引っ越し準備の中で最もエネルギーを消耗する段階かもしれません。

ここでの鉄則は「完璧を目指さないこと」そして「頼れるものは全て頼ること」です。

気力がない日でもできる「1日15分」片付け術

「荷造りをしなければ」というプレッシャーは、うつ病の症状を悪化させる一因になります。

そこでおすすめなのが「1日15分だけ」と時間を区切って取り組む方法です。

スマートフォンのタイマーを15分にセットし、時間になったら途中でも必ず手を止めます。

編集長

たとえ少しでも進められれば、「今日もできた」という達成感が得られ、自己肯定感の低下を防ぐことにも繋がります。

不用品処分は代行サービスに任せる選択肢

荷造りと同時に出てくる大量の不用品。

これを自分で分別し、フリマアプリで売ったり、リサイクルショップに持ち込んだりするのは大変な労力がかかります。

心身の負担を減らすことを最優先に考え、不用品回収業者や自治体の粗大ごみ戸別収集サービスを利用する選択肢を検討しましょう。

引っ越し業者選びと見積もりの注意点

引っ越し業者は、料金だけで選ばず、サービス内容をしっかり比較することが重要です。

複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を行いましょう。

最近では、インターネットの一括見積もりサイトを利用すれば、一度の入力で複数の業者から連絡がもらえて便利です。

編集長

見積もりの際には、荷造りや荷解きを手伝ってくれるオプションサービスがあるかどうかも確認しておくと、当日の負担を大きく減らせます。

役所やライフラインの手続きチェックリスト

引っ越しに伴う手続きは多岐にわたり、抜け漏れがあると後々トラブルの原因になります。

やるべきことをリスト化し、一つひとつチェックしていくことで、頭の中が整理され、不安を軽減できます。

以下に代表的な手続きのチェックリストをまとめましたので、ご自身の状況に合わせてご活用ください。

手続きの種類手続きの場所・連絡先タイミングの目安備考
転出届の提出旧住所の市区町村役場引っ越しの14日前から当日まで郵送での手続きも可能な場合あり。
転入届・転居届の提出新住所の市区町村役場引っ越してから14日以内転出証明書、本人確認書類、マイナンバーカードが必要。
国民健康保険の資格喪失・加入市区町村役場転出届・転入届と同時に行う市外への引っ越しの場合に手続きが必要。
国民年金の住所変更市区町村役場転入届と同時に行う年金手帳を持参。
電気の使用停止・開始契約中の電力会社・新しい電力会社引っ越しの1週間前までインターネットで手続き可能。
ガスの使用停止・開始契約中のガス会社・新しいガス会社引っ越しの1週間前まで開始時には立ち会いが必要な場合が多い。
水道の使用停止・開始管轄の水道局引っ越しの1週間前までインターネットや電話で手続き可能。
郵便物の転送届郵便局窓口、または「e転居」引っ越しの1週間前までが理想1年間、旧住所宛の郵便物を新住所へ無料で転送。
運転免許証の住所変更新住所を管轄する警察署・運転免許センター引っ越し後、速やかに住民票など新住所がわかる書類が必要。
自立支援医療の住所変更市区町村の障害福祉担当窓口引っ越し後、速やかに利用している場合は忘れずに手続きを。

ステップ3 引っ越し当日と直後の過ごし方

いよいよ引っ越し当日。

そして、新しい生活の始まりです。

この時期は、環境の大きな変化と疲労で、最も心身が不安定になりやすいタイミングでもあります。

当日は無理せず業者に任せる

引っ越し当日は、自分はあくまで「監督」に徹しましょう。

重いものを運んだり、作業を手伝ったりする必要は一切ありません。

貴重品や壊れやすいもの、すぐに使うものだけ自分で管理し、あとはプロである引っ越し業者に全てお任せするのが最善です。

荷解きは焦らず少しずつで大丈夫

新居に運び込まれた大量のダンボールを見ると、「早く片付けないと」と焦ってしまうかもしれません。

しかし、その焦りは禁物です。

荷解きは、急ぐ必要のない作業です。

編集長

まずは、寝具、洗面用具、常備薬、数日分の着替えなど、当日から必要になるものだけをまとめた「緊急ボックス」を開けるだけにしましょう。

まずは心と体を休めることを最優先に

引っ越し直後に最も優先すべきは、片付けでも、新しい街の散策でもなく、「心と体を休めること」です。

慣れない環境で緊張した心と、準備や移動で疲弊した体を回復させる時間をしっかり確保してください。

栄養のある食事をとるのが理想ですが、疲れていて自炊が無理なら、出前やレトルト食品、冷凍食品に頼って全く問題ありません。

好きな音楽を聴いたり、ゆっくりお風呂に浸かったり、ただ横になってぼーっとしたりと、自分が最もリラックスできる方法で過ごしましょう。

うつ病の引っ越しで頼れる味方 利用できるサービスや公的支援

うつ病の治療中に引っ越し準備をすべて一人で抱え込むのは、心身ともに大きな負担となり、症状の悪化につながりかねません。

しかし、幸いなことに、あなたの負担を軽くしてくれる様々なサービスや公的支援が存在します。

大切なのは「無理をしないこと」そして「頼れるものを上手に活用すること」です。

荷造りから手伝ってくれる引っ越しオプション

多くの引っ越し業者では、基本的な運搬作業に加えて、荷造りや荷解きを代行してくれるオプションサービスを提供しています。

「おまかせプラン」「らくらくパック」といった名称で提供されていることが多く、主に以下のようなサービス内容が含まれます
  • 荷造りサービス:専門のスタッフが手際よく、食器や衣類、書籍などを丁寧に梱包してくれます。
  • 荷解きサービス:新居で段ボールを開梱し、指定された場所に収納してくれます。
  • ハウスクリーニング:退去後の旧居や、入居前の新居の掃除を代行してくれます。

もちろん追加料金は発生しますが、引っ越しで最も大変な作業をプロに任せることで、心身の消耗を最小限に抑えられるメリットは計り知れません。

見積もりを取る際に、どの作業をどこまでお願いしたいかを具体的に伝え、複数の業者を比較検討してみましょう。

家事代行サービスや整理収納アドバイザー

引っ越し業者のオプション以外にも、あなたの負担を軽減してくれる民間のサービスがあります。

家事代行サービス

家事代行サービスでは、引っ越しに伴う作業を時間単位で依頼できます。

引っ越し業者のパックプランよりも柔軟に、必要なことだけを頼めるのが魅力です
  • 荷造り、荷解きの手伝い
  • 引っ越し前後の部屋の掃除
  • 不用品の分別、ゴミ出し
  • 新生活に必要な日用品の買い物代行

「週に2回、2時間だけ荷造りを手伝ってほしい」といったように、自分の体調やペースに合わせて利用できます。

大手では「ベアーズ」や「カジー(Casy)」などが有名で、スポット(単発)での依頼も可能です。

整理収納アドバイザー

「物の要不要が判断できない」「新しい家で、二度と散らからない仕組みを作りたい」という方には、整理収納アドバイザーへの相談もおすすめです。

単に片付けを手伝うだけでなく、あなたの生活スタイルに合わせた収納計画を一緒に考えてくれます。

うつ病の症状により判断力や決断力が低下している際に、専門的な視点からサポートしてもらえるのは大きな安心材料になります。

自治体の福祉サービスや相談窓口

経済的な不安がある場合や、どのような支援が受けられるか知りたい場合は、公的な支援制度の活用を検討しましょう。

無料で相談できる窓口も多くあります。

まずはここから!地域の相談窓口

どこに相談すれば良いかわからない場合、まずはお住まいの地域の以下の窓口に連絡してみましょう。

あなたの状況に合ったサービスや制度を紹介してくれます。

地域の相談窓口
  • 市区町村の障害福祉担当課:障害者手帳の有無にかかわらず、心の問題で生活に困っている場合の総合的な相談窓口です。利用できる福祉サービスについて教えてくれます。
  • 社会福祉協議会(社協):地域福祉の推進を目的とした民間の組織です。生活に困窮している人向けの貸付制度(後述)や、地域のボランティア活動についての情報提供などを行っています。
  • 精神保健福祉センター・保健所:心の健康に関する専門的な相談機関です。医療や生活に関する情報提供、助言などを受けることができます。

利用を検討できる公的制度

引っ越しやその後の生活を支える公的な制度には、以下のようなものがあります。

利用には一定の条件や審査が必要なため、まずは窓口で相談することが第一歩です。

制度・サービス名内容主な相談・申請窓口
精神障害者保健福祉手帳うつ病などの精神疾患により、長期にわたり日常生活や社会生活への制約がある場合に交付されます。
公共料金の割引や税金の控除・減免など、様々な福祉サービスを受けられるようになり、経済的負担の軽減につながります。
市区町村の障害福祉担当課
自立支援医療(精神通院)うつ病の治療で継続的に通院が必要な場合に、医療費の自己負担額が原則1割に軽減される制度です。
医療費の負担が減ることで、引っ越し費用の捻出など経済的な余裕が生まれやすくなります。
市区町村の障害福祉担当課
障害福祉サービス(居宅介護など)障害者手帳の有無や等級、自治体の判断によりますが、ホームヘルパーによる掃除や調理、身の回りの整理整頓などの支援を受けられる場合があります。
引っ越し前後の片付けに利用できるか、相談してみる価値はあります。
市区町村の障害福祉担当課
生活福祉資金貸付制度低所得者世帯や障害者世帯などを対象に、引っ越しのための敷金・礼金といった転居費用や、生活再建までの費用を無利子または低利子で借りられる制度です。市区町村の社会福祉協議会
生活保護制度病気などが理由で収入が途絶え、生活に困窮した場合に、国が定める最低限度の生活を保障する制度です。
家賃分(住宅扶助)や、条件を満たせば転居費用が支給される場合があります。
お住まいの地域を管轄する福祉事務所
編集長

心身の負担を少しでも減らし、新しい環境で穏やかな生活をスタートさせるために、ぜひ専門家や公的機関の力を借りることを検討してください。

引っ越し後にうつ病を悪化させないための過ごし方

環境が大きく変わることは、回復に向かうきっかけになる一方で、新たなストレスを生む可能性も秘めています。

引っ越しという大きなイベントを乗り越えた自分をまずは褒めてあげましょう。

そして、焦らず、自分の心と体を最優先に考えた過ごし方を意識することが、うつ病の悪化を防ぎ、人生を好転させるための鍵となります。

新しい主治医や相談先を早めに見つける

治療の継続は、うつ病からの回復において最も重要なことの一つです。

環境が変わっても、心療内科や精神科への通院は中断しないようにしましょう。

引っ越し前から新しい通院先を探し始め、引っ越し後できるだけ早いタイミングで一度受診しておくことをお勧めします。

新しい主治医を探す際は、次のような方法があります
  • 元の主治医に紹介状を書いてもらう:これまでの治療経過や処方内容が正確に伝わるため、最もスムーズな方法です。引っ越し先のエリアで評判の良い病院を教えてもらえる可能性もあります。
  • 地域の精神保健福祉センターや保健所に相談する:各自治体には、公的な相談窓口が設置されています。地域の医療機関情報に詳しいため、自宅から通いやすい病院を紹介してくれることがあります。
  • インターネットで探す:病院検索サイト(「病院なび」や「Caloo」など)で、お住まいの地域のクリニックを探せます。口コミも参考になりますが、あくまで個人の感想と捉え、最終的にはご自身との相性で判断しましょう。
  • オンライン診療を活用する:どうしても外出する気力がない、近所に良い病院が見つからないという場合は、オンライン診療も選択肢の一つです。自宅で診察を受けられるため、心身の負担を軽減できます。

主治医だけでなく、臨床心理士によるカウンセリングや、自治体の相談窓口、自助グループなど、複数の相談先を持っておくと、より安心して生活を送ることができます。

完璧を目指さない 新しい生活のルール作り

「新しい家だから綺麗にしなきゃ」「早く地域に慣れないと」といった焦りや気負いは、プレッシャーとなって症状を悪化させる原因になりかねません。

引っ越し後の生活では、「完璧を目指さない」ことを自分との約束にしましょう。

心と体に負担をかけない、自分だけの「ゆるいルール」を作ることが大切です。

項目頑張りすぎな考え方(NG例)ゆるめる考え方(OK例)
荷解き1週間以内に全部片付けないと…1日1箱だけ開ければ上出来。1ヶ月かけてのんびりやろう。
食事毎日3食、栄養バランスを考えて自炊しなきゃ。週の半分は冷凍食品やデリバリーでOK。食べられるだけでも素晴らしい。
掃除部屋が散らかったらすぐ掃除機をかけないと。気になった場所をクイックルワイパーで拭くだけで十分。
外出早く街に慣れるために、毎日散歩に出かけないと。今日はカーテンを開けて外の光を浴びるだけでOK。気分が乗ったら5分だけ外に出てみよう。
生活リズム朝早く起きて、規則正しい生活を送らないと。まずは睡眠時間を確保することが最優先。昼夜逆転しても自分を責めない。

大切なのは、ハードルを極限まで下げ、「これならできそう」と思える小さな目標を立て、クリアできたら自分をたくさん褒めてあげましょう。

近所付き合いは無理のない範囲で

新しい環境での人間関係、特にご近所付き合いは、気力や体力が落ちているときには大きなストレス源になり得ます。

「ご近所さんと良い関係を築かなければ」と気負う必要は全くありません

近所付き合いにおいては、次のようなスタンスで臨むと気持ちが楽になります
  • 引っ越しの挨拶:
    体調が良い日に、簡単な品物を持って「よろしくお願いします」と一言伝える程度で十分です。
    相手が不在であれば、手紙をポストに入れておくだけでも問題ありません。
    無理に行う必要はなく、体調が優れない場合は省略しても大丈夫です。
  • 会った時の対応:
    マンションの廊下やゴミ捨て場などで会った際は、軽く会釈をするか、「こんにちは」と挨拶するだけで十分です。
    無理に会話を広げようとする必要はありません。
  • 立ち話や井戸端会議:
    もし話しかけられても、長く付き合う必要はありません。
    「すみません、少し急いでいるので…」など、当たり障りのない理由でその場を離れても失礼にはあたりません。
  • 回覧板や地域のイベント:
    回覧板は速やかに次の家に回すなど、最低限の義務だけ果たせば問題ありません。
    地域のイベントへの参加は任意です。
    もし興味が湧き、体調にも余裕があるときに、少しだけ顔を出してみるくらいの気持ちでいましょう。

孤独を感じて誰かと話したくなったときは、ご近所さんとの関係を深めようと焦るよりも、オンラインのコミュニティや自助グループなど、同じ悩みや関心を持つ人が集まる場所を探す方が、心理的な負担が少ない場合があります。

まとめ

うつ病の引っ越しは逃げではなく、人生を好転させるきっかけです。

心身の負担を減らすため、主治医と相談し、周りのサポートを得ながら計画的に進めましょう。

無理せず、あなたらしい穏やかな新生活への一歩を踏み出してください。

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