保育施設の事例
他児の首を絞めた園児の母が反省していない事例

事例データ
投稿者
対応者 保育士
性別 女性
お相手
性別 男の子
Tくんは5歳児クラスの男の子で日々友達とのトラブルが多い子でした。
自分のしたいことが抑えられず他児から物を奪う、叩く、蹴るが日常茶飯事でした。
保育士から注意を受けると唾を吐いたり無視したり、暴れる姿が日に日に目立っていました。
ある日縄跳びの時間に、他児が使っている縄跳びの色にこだわり手を出してしまいました。
嫌がられると自分が持っていた縄跳びを相手の首にかけて締めようとしました。
近くにいた保育士がすぐに止めて事情を聞くと母に首を絞められていると語りました。

お迎えの際に出来事を知らせ母に声を掛けましたが、母は仕方がないというのみで反省の色はありませんでした・・・
良かった点
Tくんの母は精神的に不安定で、途中で取り乱しTくんに怒鳴り始めました。
他の保護者もいる中、感情コントロールができず興奮していたため、園長と主任で事務所に入れ落ち着くように促し、HさんはTくんの父に連絡しました。
Tくんの父が到着し経緯を伝えると、母は精神疾患があり感情がコントロールできない、子どもに怒鳴ったり手をあげていることもあるようだとのことで児童相談所に連絡し介入してもらう運びになりました。

正直、Tくんの行動が日に日に激しくなっていたので、私たちも支援の限界を感じ始めていました。
そんな中で今回の縄跳びの件では、本当に危険な場面ではありましたが、すぐそばに職員がいたことですぐに止めに入れたのは良かったと思います。
さらに、Tくんが自分の言葉で「お母さんに首を絞められてる」と打ち明けてくれたことで、家庭環境の背景にやっと気づけたのも大きな一歩でした。
改善点
母が送り迎えする家庭が多いためついつい母に様子を伝えてしまいがちだが、普段から様子を観察し様子がおかしかったり、話が通じない場合は無理に母に伝えず父や祖母と連絡することも必要だと感じました。

ただ、ここまでの問題行動が続いていたのに、背景を掘り下げるのが遅かったなと反省しています・・・
もっと早い段階でTくんの家庭での様子にアンテナを張っておくべきでした。
また、保護者対応の際も、「仕方ない」で終わらせてしまうのではなく、より丁寧に支援の必要性を伝え、行政や専門機関との連携を強化すべきだったと思います。
Tくんの行動はSOSのサインだったのかもしれません。
先輩福祉士からのコメント
なぜこのようなことが起きるの?
Tくんの行動は、自分の感情や欲求をうまくコントロールできず、友達とトラブルを繰り返してしまっていましたね。
それに加えて、家庭内で母親からの虐待や精神的な不安定さが影響し、子ども自身の心の安定が損なわれていたことが大きな原因だと考えられます。
こうした背景がある中で、子どもが危険な行動に及んでしまうのは避けられない面もありました。
分析とアドバイスは?
こうしたケースは、本当に繊細で難しいですね。 保育園だけでなく家庭環境も含めて支援しないといけません。 母親の精神状態が不安定な場合、直接母親に伝え続けるだけでなく、父親や他の家族、そして児童相談所や医療機関との連携が不可欠です。 Tくんの行動はSOSのサインなので、子どもの声をしっかり受け止め、専門家と協力して総合的に支える視点が大切ですよ。
参考文献
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児童虐待かも?と思ったら「189」(いちはやく)こどもたちの未来を守るために
https://www.gov-online.go.jp/article/202011/entry-8616.html -
児童虐待防止推進特設サイト
https://kodomoshien.cfa.go.jp/no-gyakutai/