保育施設の事例

施設名: 保育園

保育園保育士女性

対応者

対応者

対応者 保育士

対応者 女性

お相手

対応者

寝たきり度 J1

認知症の状況

性別 女の子

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トラブルが起きた背景

2歳児クラスで、お絵かき遊びをしていたときのことでした。
数名で絵の具遊びをしていたのですが、その横でHちゃんという女の子が興味津々に活動をのぞき込んでいました。
ある男の子がパレットに手が届かず私に「てんてー(先生)!」と訴えていました。すかさずHちゃんがパレットを渡してあげたので私はHちゃんにお礼を言いました。
しかしそれが彼を怒らせてしまいました。
「Hちゃんだめ!てんてー(先生)がよかった!」と怒って絵筆を放り投げたのです。
そして、たまたまHちゃんのお洋服に絵の具が付いてしまいました。さらに絵筆が顔に当たってしまいました。Hちゃんはひどく驚いた表情をしていました。そして驚きのあまり泣いてしまいました。
絵の具はティッシュですぐに拭き水洗いをしました。しかし、繊維の奥にしみ込んだ色までは除去することが出来ませんでした。以前、Hちゃんのお母さんが洋服の汚れについて他の職員に詰め寄っていたことを知っていた私は、どうやって謝ろうかとドキドキしていました。
しかしお母様に謝罪したとき、その日は「Hが気に入っている洋服じゃなくて良かったです。そういうこともありますよね。」と特に気にされる様子もなく安心したのを覚えています。
しかし問題は翌日起こりました。
Hちゃんはおうちで絵の具汚れを落とすお母様の姿を見て思い出したのでしょう。
「お友達がペンしてイタイイタイって、えーんしちゃったの」
とお母様に伝えたのです。
お母様は私から聞いた話と異なる内容に不信感を抱き、園長に相談しました。
私はお母様に開口一番謝罪しました。
ペンした(叩いた)ことが事実ではないというのは、そのあと伝えることが出来ると思ったからでした。
不信感を抱かせてしまったことそのものに対する謝罪をするのが先決、と考えての行動でした。
その後、昨日のエピソードを一部始終お話ししました。
Hちゃんが優しい気持ちで男の子を助けてあげようとしたこと、そしてその子はイヤイヤ期真っ盛りで癇癪を起したこと、アクシデントで絵筆が顔に当たってしまったこと、Hちゃんは突然のことに驚き泣いてしまったこと。
「そうだったんですね。早とちりしてしまってすみません。娘の良いところも一緒に教えて頂きありがとうございました!」
お母様の方からこのように言っていただくことが出来ました。
こうしてHちゃんのお母さんとの崩れかけた信頼関係を、無事に取り戻すことが出来ました。

対応者の中での対応

・現場の様子を知っている私が翌日すぐにお話しすることが出来た点。
・まず最初に謝罪した点。
・Hちゃんの気持ちに寄り添った声掛けをした点。

今後同じ事例が起きた時の対処法

今回、私は二つのエピソードを伝えなければならなかったにもかかわらず、お子様の情緒に関する話題を不必要に削ってしまいました。
本来であれば絵の具の件の謝罪と、その際トラブルがあって泣いてしまったことを当日伝えるべきでした。
保護者の方に否定的なエピソードを伝えなければならないときに、以下の点に気を付けてみて下さい。
①当日の伝え方
否定的なエピソードを伝える時、神経を使いますよね。そのようなエピソードを同時に2件以上伝えなければならない場合、分割して伝えるという方法があります。誤解を生みそうな話題や詳細説明が必要なことは口頭で、事実のみを伝えればいい場合は連絡帳に記載します。
この場合は、
・口頭  →絵の具の件
・連絡帳 →筆が当たって泣いてしまった件
と分割できたはずでした。
②伝える順番
当時の私は①の方法を取れなかったと思います。なぜならば「絵の具で洋服を汚してしまったこと」の方を重要視していたからです。
その場合は「お伝えすることが二つあって~」と最初に切り出し、一番最後にHちゃんの良いところや可愛らしいエピソードを伝えると良いと思います。後味よく会話を終わらせることが出来ます。
③お子さんを主語にしてエピソードを話す
保護者の方のお子さんを主語にして話すと共感している姿勢が伝わります。
今回の場合は、次のようにお子さんの主観を混ぜてエピソードを伝えることが出来ます。
・Hちゃんは〇〇くんを助けてあげたいと思って咄嗟に体が動いたみたいです!最近誰かの役に立つことが嬉しいようで、お友達や私たちのお手伝いもしてくれるんですよ。
・筆が当たった痛さとお友達が泣いてしまったという緊急事態が重なって、一瞬何が起きたか分からないという表情をしていました。驚いて泣いてしまったようです。
④後日談を付け足す
その子が、どのように感じているのかを保護者の方は知りたがっている場合があります。
気にしていないのか、気にしているのか、そういった感情の変化を伝えられるとより良い対応になります。
・Hちゃんが泣き止んでから「筆が当たってビックリしたね」と声を掛けると「びっくりしたね」と言葉を嚙みしめていました。「ビックリして泣いちゃったの?」とさらに尋ねると復唱するように「ビックリしてないちゃったの!」と呟き自分の気持ちを確認しているようでした。
・お昼ご飯を食べているとき急に思い出したように「Hちゃん、えーんしちゃったんだよね!」と話していました。本人にとってかなり印象的な出来事だったようです。

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