保育施設の事例
施設名: 幼稚園
保護者と保育者で子供の遊びの認識のズレが生じた事例
対応者
対応者 幼稚園教諭
対応者 女性
お相手
寝たきり度 わからない
認知症の状況 わからない
性別 女性
事例・対処法の要点まとめ
保護者と保育者で子供の遊びの認識のズレが生じた
保護者が夫婦揃って来園し、直接遊びをやめるよう訴えた
丁寧かつ思いに寄り添う対応を意識する
トラブルが起きた背景
私が受け持つクラスでは、入園してしばらく経った頃、子供達の間でその日によって「王様」を決めその王様が遊びを決めていくというルールを楽しんでいる時期がありました。
子供達でルールを作っていたり「王様」が変われば遊びの内容も変わっていくことが面白く、また子供達の経験にもなるだろうと他クラスの先生や園長先生達と情報を共有し、子供達が飽きるまで見守ろうと決めたのです。
ところが「子供の中で王様を決めてそれに従わせる遊びはおかしいのでは?うちの子は嫌がっている」とkさんから連絡が入りました。
その意見ももちろん園で共有しましたが、kさんの言う「従わせる」ということはないことやその遊びが嫌な子は自由に遊びから抜けている実際の様子をkさんへ伝え対応しました。
また「kさんのお子さんが嫌がっているのに抜けられないようであれば、こちらで対応できるよう園での様子を見守ります」と今後の見守りについても伝えました。
そのやりとりから数日経ち、子供達が降園後。
ふと園の門へ目を向けると、kさんがご主人と連れ添って来園してくる姿が目に飛び込んできました。
kさんのお子さんは降園されていたので、遊びのことで再度来園したことは容易に想像がつきました。
私はすぐに園長と副園長、主任へ声を掛け私も同席して、kさんご夫婦との話し合いになりました。
kさんの言い分は「やはり王様という役割に周りが従う構図がおかしい。さらにそれを園全体で認めているなら問題だ。今すぐやめさせてほしい」「楽しんでいる子が多いというが、嫌だと思っている子もいることをもっと理解してほしい」とのこと。
遊びの内容や子供達の様子をしっかりと丁寧に伝え対応したのですが、最終的にkさんの理解は得られず「遊びをやめさせてほしい」という意見は変わることがありませんでした。
園で相談の上、翌日からは、子供達が自然とその遊びから離れられるように別の興味を引く遊びを複数取り組める環境を作り、王様遊びは自然消滅しました。
対応者の中での対応
今思うと「イヤだ」との子供からの訴えにkさんが不安を持ち、また子供を守りたくて行動したことを思うと、私の最初の対応は一方的過ぎたと感じます。
現状を伝え理解をしてもらおうとするあまり、kさんにとっては「嫌がる子の気持ちを否定し意見を聞き入れてもらえない」と冷たい印象を持たれたと思います。
その結果が、1人で言っても聞いてもらえないなら夫婦で!と次の段階を取らせてしまったんだと思うと申し訳ないです。
もっとkさんの不安に寄り添った言葉で子供達の遊びの様子を伝えることが出来ていれば、kさんは夫婦で来園することはなかっただろうと思います。
また、実際イヤだと感じた子が1人でもいたという事実を私がもっと真摯に受け止めて、そういう子達のために「王様」の遊びを続けることにこだわることなく、色々な遊びを選択できるように環境を整えることにもっと早く取り組むべきでした。
保育者としては現状を伝えることだけが正しいわけではないのに、子供達が遊びを考えているということに捉われて保護者の不安に寄り添えなかったことは、反省すべきことです。
遊びに関して園で共有していたことや、届いた意見などを園長先生まで報告できていたこと、その対応についても共有報告が出来ていたことは良かったと思います。
自分の評価を気にして自分だけでkさんの意見を留めていたとしたら、夫婦で来園した際に園長先生達の協力は得られなかっただろうし、園内で共有されていないことにkさん夫婦の不信感はさらに大きくなったと思うので、その点は良かった対応だと思っています。
今後同じ事例が起きた時の対処法
園での様子が見えない親にとっては「王様が決める」ということが、自分の子供は従わされていると受け止めることになったように、子供の声だけで園での様子を想像してしまうものだと思います。
そのためにしっかりと現状を伝えることは大切ですが、その保護者がどういった点に思いがあって意見を言ってきたのか寄り添うことが大切だと感じます。
また、基本的にどんなことも園や他のクラスの先生と情報を共有することが大切だと思います。
丁寧に対応したつもりでも保護者の不安を取り除けなかった場合、私のように保護者の思いはどんどん膨らみ次へ次へと行動で示してくると思うので、丁寧かつ思いに寄り添う対応を意識していると良いと思います。