保育施設の事例
施設名: 幼稚園
幼稚園幼稚園教諭女性
対応者
対応者 幼稚園教諭
対応者 女性
お相手
寝たきり度 J1
認知症の状況 Ⅰ
性別 女性
トラブルが起きた背景
年少に入園当初からtくんはこだわりが強く、特に場面の切り替えが苦手であった。
今までやっていたことを切り上げて次の活動へうつるときなどなかなか集団行動がとれず、1人納得するまで行動を変えない所があった。
クラスの友達が食事をしていても気に入った遊びに熱中していたり、午睡の時間もカバンの荷物の出し入れを何度も繰り返してみたりするなど、こだわる場面はその時々だが、そのこだわりとの折り合いをつけるのが難しい様子であった。
初めての集団生活なので、様子を見守ったりその都度声をかけて次の行動へ促したりしたが、次第に本人も声をかけられるのが苦痛に感じてしまっているようだった。
またその様子が半年過ぎても変わらないので園長と相談し、発達相談員に園での様子を見てもらった。
結果自閉症スペクトラムの傾向あり(当時の呼称はアスペルガーでした)との事だったので、tくんがより園生活を安心して楽しめるよう保護者にもその旨を伝え成長を見ていこうと、4者懇談会(保護者、園長、担任kさん、相談員)をおこなった。
しかし保護者が結果を受け止められず、逆に園に対して不信感を持つようになってしまい、関係が悪化し言葉を交わすことが難しい状態になってしまった。その後月日が経ちtくんが年長児になると、あきらかな周りとの差を感じた保護者が診断を受け入れ園とも少しずつ信頼関係が築け、tくんへのよりよい支援をみんなで考えていけるようになった。
対応者の中での対応
保護者への伝え方が難しいと感じた。
もともと繊細な母親であったので、その事を懇談の前に園長や相談員によく伝えて、どのように話を進めるか具体的なところを練っておくべきであった。
そしてtくんへの思いがあふれ支援を進める事ばかりに話が集中してしまい、保護者の気持ちが追い付かない事に早く気づけなかったために決裂してしまったと思う。
しかしその後、担任kさんは日々の送迎で保護者に会う際など、1歩引いて落ち着いて保護者が園へ気持ちが向くのを待つようにしていたので、月日が経ち保護者が自ら冷静に我が子を見ることができるタイミングに出会えたのだと思う。
今後同じ事例が起きた時の対処法
今回のように、突然我が子へ発達障害の診断が出て戸惑う母親の気持ちにもっと寄り添うべきであると感じた。
保護者の安定は子どもの安定でもあるので、保護者が全てを受け入れて前へ進もうと思えるまで焦らないで待つようにするのがよいと思う。
必要以上の働きかけはかえって関係悪化につながり、それが結果として子どもへの適切な支援へつながらない。
また園での情報を共有したり勉強会を定期的にすることで、日頃の子どもたちの様子に敏感に気付けるようにしたり、より安心して過ごせる手だてを共有することが大切であると感じた。