障害者施設の事例

保護者自身の非を他所に責任転換した事例

事例データ

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対応者

対応者 特別支援学校教員

性別 女性

お相手

対応者

性別 女性

Hさんはダウン症で、学習するクラスは常に最重度のクラスで勉強するほど、認知力は低い生徒でした。

ですが、学校の認識と保護者の認識はとてもかけ離れていて、なかなかご理解いただくのが難しい状況でした。

「できないのは学校のせい」「放課後等デイサービスのせい」「市役所の福祉課のせい」と自分には非が無いと、色々なところに中学部在籍の頃からクレームを入れ続けた結果、高校3年の夏休みになって受け入れてくれる事業所がない状況になりました。・・・

学校への信頼はないなと判断したので、学校の管理職、市役所福祉課の方、進路先候補の事業所の方とケース会議を設け、保護者には管理職が基本的に対応して、もう一度進路を探そうという結論で落ち着きました。

良かった点

今回の件は、自分だけでは対応できないと早めに判断して、管理職や外部の方々と早めに繋がれたのが良かったと思います。

卒業前に進路がないという状況は避けられたので良かったです。

悪かった点は、担任して数ヶ月では難しいが、もっと早くから生徒の認知度に対して保護者に理解をいただけていたら、これほど難しい状況にはならなかったかと思います。

改善点

少し難しめな保護者の方を高校3年で担任しても、根本から問題を解決するのは難しいと思います。

なので4月から周りの力、外部の力を使いながら1つずつ問題を解決していく事が大切だと思いました。

1番やってはいけないのが、1人で全て問題を抱えて気を病んでしまう事。

原因は自分ではないし、解決するのは1人では無理と最初から分かっているので、1人で抱え込まず周囲とストレスを共有、分散してやっていく必要があるなと感じました。

先輩福祉士からのコメント

なぜこのようなことが起きるの?

Hさんの保護者が「学校や福祉サービスには非がある」と責任転換する傾向を持つ原因は、理解不足だけでなく、「学校等から期待される役割プレッシャー」と「保護者としての無力感」が混ざってしまっているからですね。
認知力が低いという実態を保護者が十分に受け入れず、できる限りの支援を説明されてこなかったことが、双方の信頼の分断を生んでしまったのだと思います。

分析とアドバイスは?

まずは保護者との初期からの関係構築を丁寧にすることが重要ですね。 具体的には、保護者が何を期待しているか、何を不安に思っているかを傾聴する機会を繰り返し持つこと。 そして、できること・難しいことを明確にし、「共通の目標」を設定することが有効です。 また、学校だけでなく、市役所や放課後等デイサービスなど関係機関全員とのケース会議を定期的に開き、情報と責任を共有する体制を作ることもおすすめですよ。