障害者施設の事例

施設名: 就労移行支援

パニック障害の方が思い出の品に執着する事例

対応者

対応者

対応者 精神保健福祉士

対応者 女性

お相手

対応者

寝たきり度 わからない

認知症の状況 わからない

性別 男性

事例・対処法の要点まとめ

パニック障害の方が思い出の品に執着する。

私は以前から落ち着かなくなると個別に話を聞いていました。話をしていると見る見る落ち着いていくのがわかりました。今回もそうしようとしたのですが追い出されると思ったのかもしれません。(決して彼に触れませんでしたし大きな声も当然出していませんが。)「わかりました。パニックになっていますので面談室に行きます。」と伝えたのです。他のご利用者様や職員に被害が及ばぬよう別室に行くことを促したのです。しかし彼は余計パニックになりました。大きな声を出し地団駄を踏んで訴えてきました。「僕の思い出の物が捨てられちゃう、それだけは絶対に駄目なんだ。」頭を抱えて叫ぶ彼の様子は常軌を逸していました。その場で話を聞けばよかったのかもしれませんが、その時の私は彼を別室に行かせることだけを考えていました。パニックになった彼は私を突き飛ばしました。転んだ私の頭をマニュアルファイルで思い切り叩いたのです。驚いたと同時に怖いと思いました。とっさに「暴力を振るうなら警察を呼びます。」と言っていました。 今振り返ればパニックになっている彼に「わかりました」と言っています。この場を取り繕って話を変えようとするのか、話を流すかのようにも取れます。そう取られたのだと思います。私は落ち着いてもらうために時間をかけて話を聞こうとしました。別室に行こうと促しました。いつもはこれで大丈夫でした。しかしこの日は違っていたのです。パニックになっていると伝えたことはなかったのです。この時は少し駄目な言い方だったと思います。更に「警察」とも言ってしまいました。脅迫にも聞こえます。全ては私がきちんと説明していなかったから起きたことです。なぜ別室に行こうとしているのか、彼の苦しさにもう少し寄り添うことができればこんなことにはならなかった。そもそも私自身がはじめから彼を暴力を振るう人という目で見ていたようにも思います。恐れがあったのは確かです。 「いつもはこれでいけた」ということは通用しません。また、警察というワードを出したのは今考えると脅迫だったかもしれません。他の事業所でも暴力があったと聞いていたので身構えていたのです。 また親御さんから「暴力があったら迷わず警察を呼んでください。」と言われていたので(そんな大変な人なんだ)と思っていたのです。 人は障害があろうとなかろうと人を見て態度を決めます。前の事業所でどうであろうと自分は自分で関係性を作り信頼し合い、そして自分自身でその方を評価しなければならないと思います。それなのに他者からの評価を鵜呑みにしていたのです。 このトラブルが起こるまではうまくやれていたのです。ゆっくりと関係を構築してきたのです。きちんと時間をとって話を聞いてきたのです。それなのにこの一瞬で彼は怖い人と思ってしまった。全て彼の責任にしてしまった。「自分は悪くない。」と。 今考えると彼に暴力を振るわせるほど追い詰めたのは私の言葉だったのだと思います。

自閉症の方の多くは強い拘りを持っておられます。支援者としては理解し難いことが多くあります。私達には分からなくてもご本人にとってはなくてはならないことであったり、それを超えないと進まないことだったりします。「そんなこと」ということなくしっかり受け止めてほしいです。パニックになったご利用者様に掛ける言葉は「◯◯のお話をもう少し詳しくお聞かせ頂けませんか?」と言えば良かったと今は思っています。暴力がある方の支援は本当に大変です。止めるために手首を掴むだけでも虐待だと、行動制限だと言われかねません。そうならないように事前に落ち着かせるキーワードを探っておかれることをお勧めいたします。

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トラブルが起きた背景

Yさんは物への執着心が強く、特に自分の思い出の物を集めることに拘りをお持ちです。自分が通っていた保育園が移転すると聞けば保育園の壊された建物の壁を持ってきてしまいます。それをご自身の部屋に隠しておくのですが、非常に大きい物を持ってきてしまうため家が思い出の品(ゴミ)でいっぱいになってしまっています。
弊事業所に来られたのは約1年前です。ゆっくりですが軽作業に従事されていました。袋を閉じたり数を数えたりしていました。
ある日、親戚の家が壊されるということを耳にしたようで朝から落ち着かない様子でしたが、いつも通り軽作業に取り組んでいました。と、突然大きな声で「駄目だ!思い出がなくなる」と騒ぎ始めました。私は落ち着かせるために別の場所に連れて行こうとしましたが、パニックになっていた彼は私を突き飛ばし持っていた作業マニュアルファイルで私の頭を叩いたのです。
私は「暴力は許されません。警察に行くことになります。」と伝えました。その場は30分くらいで落ち着きました。しかし彼は家に帰ってからも騒ぎ出し結局病院に入院することになりました。

対応者の中での対応

私は以前から落ち着かなくなると個別に話を聞いていました。話をしていると見る見る落ち着いていくのがわかりました。今回もそうしようとしたのですが追い出されると思ったのかもしれません。(決して彼に触れませんでしたし大きな声も当然出していませんが。)「わかりました。パニックになっていますので面談室に行きます。」と伝えたのです。他のご利用者様や職員に被害が及ばぬよう別室に行くことを促したのです。しかし彼は余計パニックになりました。大きな声を出し地団駄を踏んで訴えてきました。「僕の思い出の物が捨てられちゃう、それだけは絶対に駄目なんだ。」頭を抱えて叫ぶ彼の様子は常軌を逸していました。その場で話を聞けばよかったのかもしれませんが、その時の私は彼を別室に行かせることだけを考えていました。パニックになった彼は私を突き飛ばしました。転んだ私の頭をマニュアルファイルで思い切り叩いたのです。驚いたと同時に怖いと思いました。とっさに「暴力を振るうなら警察を呼びます。」と言っていました。
今振り返ればパニックになっている彼に「わかりました」と言っています。この場を取り繕って話を変えようとするのか、話を流すかのようにも取れます。そう取られたのだと思います。私は落ち着いてもらうために時間をかけて話を聞こうとしました。別室に行こうと促しました。いつもはこれで大丈夫でした。しかしこの日は違っていたのです。パニックになっていると伝えたことはなかったのです。この時は少し駄目な言い方だったと思います。更に「警察」とも言ってしまいました。脅迫にも聞こえます。全ては私がきちんと説明していなかったから起きたことです。なぜ別室に行こうとしているのか、彼の苦しさにもう少し寄り添うことができればこんなことにはならなかった。そもそも私自身がはじめから彼を暴力を振るう人という目で見ていたようにも思います。恐れがあったのは確かです。
「いつもはこれでいけた」ということは通用しません。また、警察というワードを出したのは今考えると脅迫だったかもしれません。他の事業所でも暴力があったと聞いていたので身構えていたのです。
また親御さんから「暴力があったら迷わず警察を呼んでください。」と言われていたので(そんな大変な人なんだ)と思っていたのです。
人は障害があろうとなかろうと人を見て態度を決めます。前の事業所でどうであろうと自分は自分で関係性を作り信頼し合い、そして自分自身でその方を評価しなければならないと思います。それなのに他者からの評価を鵜呑みにしていたのです。
このトラブルが起こるまではうまくやれていたのです。ゆっくりと関係を構築してきたのです。きちんと時間をとって話を聞いてきたのです。それなのにこの一瞬で彼は怖い人と思ってしまった。全て彼の責任にしてしまった。「自分は悪くない。」と。
今考えると彼に暴力を振るわせるほど追い詰めたのは私の言葉だったのだと思います。

今後同じ事例が起きた時の対処法

自閉症の方の多くは強い拘りを持っておられます。支援者としては理解し難いことが多くあります。私達には分からなくてもご本人にとってはなくてはならないことであったり、それを超えないと進まないことだったりします。「そんなこと」ということなくしっかり受け止めてほしいです。パニックになったご利用者様に掛ける言葉は「◯◯のお話をもう少し詳しくお聞かせ頂けませんか?」と言えば良かったと今は思っています。暴力がある方の支援は本当に大変です。止めるために手首を掴むだけでも虐待だと、行動制限だと言われかねません。そうならないように事前に落ち着かせるキーワードを探っておかれることをお勧めいたします。

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