障害者施設の事例

中度知的障害の方が職員から性被害にあった事例

事例データ

投稿者

対応者

対応者 事務職員

性別 男性

お相手

対応者

性別 男性

Sさんは就労継続支援A型を利用している男性で、法人が運営するカフェの清掃員として施設内の清掃業務に従事していました。

障害者雇用枠として採用している清掃職員は複数名おり、いずれも知的障害や軽度の身体障害を持つ方です。

その方がシフトに沿い2人1組となりトイレやバックヤード、カフェスペースに分かれ清掃を行っていました。

当日は入社したての20代前半の知的障害を持つ女性職員がおり、OJTも兼ねてお客様からは見えないバックヤードの清掃を先輩職員のSさんに指導を任せて行い、当日は大きなトラブルはなく業務は終了しました。

後日、たまたまバックヤード前を通りがかった職員から、Sさんが新人の女性職員に対して後ろから抱きつくなど不自然に身体に接触していたのを目撃したと報告がありました・・・

すぐに人事が介入し、まずは被害者である女性に当日何があったかを確認しました。

しかし被害を受けた女性は中度の知的障害があることもあり、先輩職員のSさんから何をされたのか理解していない様子で的を得た回答が得られませんでした。

次に加害者である男性にヒアリングを行ったところ、本人が認めた為、目的や理由を聞くと「責任を取る覚悟が出来ている。解雇されても仕方がないと思っている。」との話が出てきたため、わいせつ目的での接触であったと認定しました。

後日、当事者家族、第三者機関、施設の管理者を交え話し合いの場を設けました。

被害者家族からは本人に自覚がないので穏便に済ませたいが、家族としてこのまま安心して施設を利用できないといった趣旨の話が聞かれ、Sさん家族からは謝罪と、Sさんは退職する意向であると伝えられました。

被害者女性および被害者家族へ、法人としても指導方法や人選に不備があったことを謝罪して再発防止策を提示し、現在も施設を利用していただいています。

良かった点

話を聞いてから比較的早い段階で、迅速に対応できたのは良かった点だと思います。

またSさん、被害にあった新人女性職員共に復職したことを想定し、当事者同士の関係や職場内で軋轢や偏見が生まれないように一部の人間にのみ情報を共有し、極秘に対応できたことは良かったと思います。

現在ではSさんは退職してしまい、復職したのは被害にあった女性職員のみとなってしまいましたが、現在も変な噂など立てられず働きやすい環境で仕事ができていることは良い点だと思います。

改善点

悪かったと思う点は、退職するまでSさんから経緯や動機を最後まできちんと引き出せなかった点だと思います。

セクハラをした原因や自分がしてしまった行動について、意見や反省などの言葉が最後まで引き出せなかったのは後悔が残りました。

今後再就職を考えた際にSさん自身が今回の行動についての理解を深め、自分にはどういう傾向があるのか、どのように対処すれば良いか分かれば、この先トラブルを起こす可能性をより少なくできたのではないかと思います。

先輩福祉士からのコメント

なぜこのようなことが起きるの?

この背景には、「障害のある職員でも性被害は起こり得る」という前提が、組織として十分に共有されていなかったことがあるように感じますね。指導役を障害特性や対人距離の課題まで考慮せず任せてしまい、密室性の高い環境を作ってしまった点も重なっています。被害者側が被害を正確に言語化できなかったことも、発見を遅らせやすい構造だったと言えます。

分析とアドバイスは?

大切なのは、障害の有無に関係なく「性に関する加害・被害は起こる」ことを前提にした仕組み作りですね。OJTや指導場面では必ず第三者の目が入る配置にし、バックヤードなど死角になる場所は単独・密室作業を作らない工夫が必要です。また、知的障害のある職員には「してはいけない行為」「されたら伝える行為」を平時から具体的に教えることが、被害防止につながります。善意や信頼だけに頼ってはいけません。