障害者施設の事例

施設名: 共同作業所

双極性障害の方が他者の気を引くため作り話を広げた事例

対応者

対応者

対応者 作業(職業)指導員/男性

お相手

対応者

性別 男性

事例・対処法の要点まとめ

双極性障害の方が他者の気を引くため作り話を広げた

時間をかけて利用者と話したことで、作り話をする原因がわかり、寂しさを和らげる工夫をした

利用者の態度に異変がある場合は、できるだけ放置せず早めに声をかける

トラブルが起きた背景

精神障害者共同作業所で、利用者が他の利用者を混乱させてしまう状況が起こりました。

利用者Kさんは双極障害や注意欠陥多動症ある利用者で、常にソワソワした様子でした。

独り言が多く場の空気を読めずに一方的に話しかけるので時々、他の利用者が困惑することもありました。

ある時期、Kさんのテンションが高い時期がありました。

作業所でも落ち着きがなく多弁になっていて、作業所が休みの日も自転車でかなりの距離を移動して市内観光などに行かれていたのです。

そしてその頃にKさんは他の施設(精神障害者共同作業所)のことを仲が良い利用者に話されるようになりました。

「あそこのAという作業所は、ここよりももっと楽しい作業所だ」

「Bという施設にはここよりも優秀な職員が2人もいる」

このような発言をして、職員を困らせて反応を伺うような態度を取るようになったのです。

実際にKさんは他の施設のことを知っていた訳ではなく、少し見学に行っただけの情報を基に話を膨らませていたのです。

Kさんの「ここより他の施設の方が楽しいぞ」という内容の発言を繰り返し聞いて、それを信じて影響を受ける利用者も出てきました。

利用者のFさんが「ここを辞めて他の作業所に移りたい」と言い出したのです。

しかし私はKさんが名前を出した施設の職員とも交流があり、それらの施設の状況を知っていました。

特別にKさんやFさんが通いやすい施設ではありませんでした。

Kさんの他施設についての作り話によってFさん以外にも影響を受ける利用者が出始めたので、職員の私はKさんと話し合う機会を設けました。

そしてKさんに他の施設の話をしないようにお願いをしました。

その話し合いをしたことで、最近のKさんのテンションが上がっていた理由や他の施設についての作り話を広げる理由が分かりました。

Kさんはその時期にご両親との関係が上手くいっていませんでした。

その親子関係の寂しさから感情が不安定になり、私たち職員や他の利用者の気を引くために作り話を広げていたのです。

Kさんは感情が不安定で幼いところがある利用者でしたが、感情が落ち着いている時には高い理解力をお持ちでした。

なので私はこちらの要望を伝えました。

そして休憩時間などを利用して、Kさんに声をかけて寂しさが和らぐように会話をするようにしました。

こちらの思いを理解してくれたので、その後はKさんは態度を改めてくれました。

職員の気を引くために他の施設の作り話をされる事は無くなりました。

対応者の中での対応

最初Kさんが他の施設についての噂話、作り話を広げる理由が分かりませんでした。

しかし、Kさんと時間をかけて話し合うことで、その理由が彼の寂しさにあると知り改善策を実行できるようになりました。

Kさんに態度を改めて貰えたこと、そして他の利用者のFさんたちが混乱すること無く問題を防げたことは良かったと思っています。

今後同じ事例が起きた時の対処法

今回の事例では、Kさんが他の施設の噂話や作り話をされたことによって職員は困ったわけですが、それ以前からKさんの言動には落ち着きがなく、異変がありました。

業務が忙しくて、問題が起こる予兆に気づいても動けない時もあるかと思います。

日々の中で、利用者の態度に異変があると認められた場合には、できるだけ放置せず早めに声をかけるなどして問題を事前に防ぐ方がいいです。

ちょっとした利用者の言葉によって、他の利用者が影響を受けるということは時々起こりました。

ひどい場合には利用者が通えなく可能性もありますので、早め早めの対応をされると良いと思います。

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