障害者施設の事例

精神障害の方が管理者の対応にクレームを出した事例

事例データ

投稿者

対応者

対応者 生活支援員

性別 女性

お相手

対応者

性別 女性

事業所内でのNさんとの面談時に、管理者に対してのクレームが私宛にありました。

Nさん曰く、管理者が自分に対してだけ冷たく接しているとのことでした。

書類を渡す際に投げ捨てるような渡し方だったり、挨拶を自分にだけ返してくれないとのことです。

それが原因で症状が悪化し、通所が困難になったと話していました・・・

Nさんの親からも連絡があり、これまでの事実関係が書かれた紙をもって面談に来られました。

その後、担当保健師や相談員も同席し面談を重ねました。

管理者は事実ではないと主張し、側にいたスタッフからも事実とは違うと話があったため、事業所としては事実に対しての謝罪ではなくそのようなお気持ちにさせてしまったことに対する謝罪を重ね重ね行いました。

症状の悪化もあったため、事業所を退所し、治療に専念することになりました。

良かった点

本人の気持ちに寄り添うだけではなく、事実関係の聞き取りをきちんと行ったうえで謝罪するべきポイントを見極めて対応した点が良かったと思います。

事実ではない事に対してこちら側が謝罪することは、本人のためにもなりません・・・

改善点

トラブルが起きた際、相手からしたら事業所のスタッフ全員が敵に見えてしまうので、トラブルが起きた際にスタッフ1人でいいので話を傾聴して「辛い思いをしたね」と寄り添う担当スタッフを作ることが大切だと感じました。

そうすることによって本人が気持ちを吐き出す場所ができるため、自分1人で抱え込んで悩むことは減ると感じます。

施設内でスタッフの人柄などをみて、傾聴する担当や、いざと言うときに指導する担当などを決めておくと良いと感じました。

先輩福祉士からのコメント

なぜこのようなことが起きるの?

このようなトラブルが起きた背景には、精神障害をもつNさんの「対人関係における被受容感の低さ」があったと考えられますね。
統合失調症などでは、被害的な捉え方や人の表情・言葉の意図を歪んで受け取ることがあり、管理者側の無意識な態度や表情が、Nさんには冷たく映ってしまったのかもしれません。

分析とアドバイスは?

大事なのは、「事実かどうか」だけでなく「本人がどう感じたか」に丁寧に向き合う姿勢です。 精神障害のある方は、非言語的コミュニケーション(表情・声のトーン・視線)に敏感ですから、日頃からスタッフ全員が対人スキルと情緒的共感力を高める研修が必要ですね。 また、“傾聴担当”のような安心できる関係性を作っておくこともとても有効ですよ。