障害者施設の事例
精神障害の方が職員に好意を寄せた事例
 
            事例データ
投稿者

対応者 精神保健福祉士
性別 女性
お相手

性別 男性
精神障害を持った方々の通所施設にて、新卒から正規職員として内職作業のサポートをしていた頃の話です。

私が勤めていた施設は一日の利用者が数十人の大きめの施設だったので、一年目の私はまず利用者の顔と名前を覚えるだけでも大変でした。
少しでも多くの利用者と話し、相手への理解を深めようと毎日声をかけ、話す機会を設けるように意識していました。
利用者の過半数は男性で、年齢層は様々ですが30〜40代の方が最も多い印象です。
その中で男性利用者から好意を寄せられることがありました。
当然利用者と職員では恋愛関係になるわけにはいかないし、こちら側はあくまでも利用者の一人という認識です。
その利用者の方は温厚なイメージで他者に危害を与えるような風には見えませんでしたが、精神障害を持った人は妄想に走ってしまう傾向があり、万が一のことがあると取り返しがつきません。

相手の気持ちがおさまるまで数ヶ月の間、その方が来所すると決まっている曜日には、顔を合わせないために現場に立つことができませんでした。
良かった点
20代の若い女性職員は誰もが通る道だと上司から言われました。
しかし、私個人にもいくつか原因があったようです。

利用者と会話するときの距離が近いこと、どの利用者にも同じように愛想良く接すること、男性利用者と二人で相手にだけ聞こえるような声量や状況で話すことは改善した方が良いと諭されました。
障害を抱えた利用者は日常生活の範囲が限られていることも多く、普段あまり女性と関わる機会がない上、歳も若い女性が親しく接してくれると勘違いをしてしまうこともあります。
場合によっては、物理的な距離をとったり利用者によっては冷たく見えるような態度をとることも必要です。
相手に好意を持たせてしまうような言動をとった自身に責任があると考え、利用者との距離感を見直すようにと注意を受けました。
改善点
心身の不調を抱えているとはいえ、温厚そうな人が何か危害を加えてくることはないだろうし大げさなと思ったのですが、上司の話を受け恐怖を感じるようになりました。
数ヶ月間は男性職員に帰り道を同行していただき、その方がいつ来ても対応できるよう他の職員も気にかけてくださいました。
私も、その方と出くわすのではないかと町を歩くだけでも不安な時がありました。

私の場合「利用者と仲良くなる、好かれることが大事」と考えていたのが良くなかったと思います。
利用者に寄り添う支援者とはいえ、あくまで職員と利用者という関係であり仕事上の付き合いです。
相手に勘違いをさせないため、自分の身を守るためにも利用者一人一人との距離感を客観的に見る必要があるようです。
先輩福祉士からのコメント
なぜこのようなことが起きるの?
                  このような好意を寄せられる事例が起きたのは、あなたが親身に接し、信頼される存在だったからだと思います。
精神障害を持つ方は孤立感や承認欲求を抱えていることが多く、特に支援者からの関わりが温かいと「特別な繋がり」を感じやすいですね。
それから、職員間の役割の曖昧さや、対話の距離感に配慮が足りない場面があったことも重なっていたのだと思います。                
分析とアドバイスは?
支援者として大切なのは、親しみを持たれることと同時に“職員-利用者”の境界を明確に保つことですね。 具体的には、「業務時間・場所・対応内容」を明確にし、私的な時間や連絡先の共有などは制限することがいけません。 また、好意を向けられたと感じたときは、上司やチームで早めに共有し、対応方針を一緒に決めておくことが重要です。 さらに、利用者の背景(過去の人生経験、人間関係など)を把握した上で、誤解を生まない言動を意識することも支援の質を守るために必要です。
参考文献
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                        適切な距離感を保つことの重要性/「利用者様と介護職員の距離が近すぎると問題?適切な距離感とは?」 https://kaigo-labo.com/news_419.html?utm_source=chatgpt.com


