障害者施設の事例
施設名: 共同作業所
精神障害の方が家の鍵を紛失した事例
対応者
対応者 作業(職業)指導員
対応者 男性
お相手
寝たきり度 わからない
認知症の状況 わからない
性別 男性
事例・対処法の要点まとめ
精神障害の方が家の鍵を紛失した。
声かけをし、動揺しないようフォローしながら鍵の捜索を行った。
まずは紛失防止に努め、紛失時は利用者の心のケアを優先して対応することが重要。
トラブルが起きた背景
精神障害者共同作業所で利用者の貴重品の紛失騒ぎが起こりました。
Fさんは双極性障害と、片手に軽度の麻痺がある利用者でした。
3年間トラブルは無く安定して共同作業所で過ごされていましたが、夏のある日の終礼時にFさんの貴重品(自宅の鍵)が無くなるという事態が起こりました。
共同作業所の決まり事として、利用者の貴重品の管理については貴重品ボックスの中に鍵や携帯電話、財布などを入れていただいていました。
職員が管理して終礼時にお返ししていたのです。
しかしその日、Fさんの財布などが入ったポーチは貴重品ボックスからお返しできたのですが、家の鍵が見当たりませんでした。
20分くらい職員3名とFさんで探して、結局はFさんの勘違いもあり鍵だけは他の場所から無事に出てきたのです。
この紛失騒動でFさんはかなり動揺されていました。
Fさんは鍵を探している時はとても焦った様子で、鍵が見つかってからは暗く落ち込んだ状態になられました。
鍵が無くなったという事よりも、職員に迷惑をかけてしまったと思い心苦しくなられたのです。
鍵を探している間も私や他の職員はFさんに「仮に鍵が見つからなくても大きな問題にはならないのでご安心を」という内容の声掛けをしていたのですが、Fさんにとっては初めての体験でとてもショックだったのです。
鍵は無事に見つかったので私からFさんに「鍵を失いかけたのは、貴重品預かり時にきちんと確認しなかった施設側に責任があることだから。気になさらないでください」と謝罪の意を改めてお伝えしました。
そしてFさんが精神的に落ち着かれるのを待ってから帰宅していただきました。
対応者の中での対応
Fさんが鍵を無くされたことに気付いてから無事に見つかるまでの間、Fさんはとても動揺されていました。
私も最初、鍵を早く見つけてあげたい思いがあり、探す事にばかり集中していたのですが、途中からは鍵を探しながらFさんにお声かけをして、動揺したり混乱したりしないようにフォローしました。
利用者が混乱しないように配慮を欠かさなかったのは良かったかと思います。
今後同じ事例が起きた時の対処法
貴重品に限らず、御自身の所持品を失った時に精神障害をお持ちの利用者が酷く混乱したり、落ち込まれる場合があるかと思います。
まずは紛失防止に努める姿勢が職員には必要かと思います。
ご本人、そしてご家族から来所時に所持される貴重品などについてしっかりと確認をとっておくことが必要です。
そしてもしも紛失が起こったとしても冷静に対処して、できるだけ利用者の精神的な負担を和らげることを最優先課題にしていただきたいと思います。
物や金銭の紛失は問題ではありますが、それ以上に問題となるのは利用者がその件で健康状態(精神状態)を崩されてしまう事だからです。
小さな物や安価な物を含めると私は10回以上はこういった場面を経験していますが、冷静に対応すればすべてのケースで深刻な問題にはなりませんでした。
利用者の心のケアを優先に対応していただきたいです。