障害者施設の事例

統合失調症の方がネット上で誹謗中傷を繰り返した事例

事例データ

投稿者

対応者

対応者 特別支援学校教員

性別 女性

お相手

対応者

性別 男性

Tさんは統合失調症を患っていましたが、パソコンのスキルを持っていました。

私は、施設に来る前のことを知らずにいたため、作業を通し、褒めるようにしていました。

ある時から同じ施設の女性のことをネット上に誹謗中傷とともにアップし、その女性が直接警察に相談したことで発覚しました。

Tさんはこれまでも前に通っていたA型事業所や、事業所内で知り合った人の誹謗中傷をネット上で繰り返していたことが後になってわかりました。

責任者は警察に呼ばれ、「次同じことがないように」と諭されていましたが、帰宅後のことまで責任は取れません。

Tさんは実家に両親と一緒に住んでいるのですが、両親には威圧的で、親は見て見ぬふりのようでした。

その後もネットに同じ事業所の人のことが何度も上がり、責任者とTさんとの話し合いの結果、施設から退所することになりました

無理にではなく、本人が自ら「迷惑をかけるから」と申し出てきたのです。

ここからは聞いた話ですが、Tさんが前に通っていたA型事業所でも誹謗中傷を繰り返しており、事業所の人が開示請求で突き止め、大きなトラブルになったようです。

私たちのところでは事業所内のことで収められましたが、警察に通報があると信用問題になります。

Tさんのような人はネット以外で活動し、人との正常な関係作りを学ぶのが良いと思うのですが、ネット依存に陥っており、やめさせようとすると事業所を変えて続けてしまいます

良かった点

Tさんは事業所を転々とし他の事業所の誹謗中傷を繰り返していました

最近まで通っていた事業所では、10年も前にいた事業所のことで謝罪に出向いたり、Tさんとの度重なる話し合い、病院への付き添いまでしているそうです。

私たちがTさんの退所を受け入れて良かったのか自信はありません・・・

トラブルを避け続けるならば、Tさんは人と関われず事業所に入所できなくなります。

リモートワークのような形を取っているA型事業所は市内にありました。そのような事業所であれば、トラブルは避けられたと思います。

ご家族はリモートワークでは困るから事業所へ通わせていたと思うので、Tさんを含め、関わる人全員にとっての良い結果を求めるのは難しいケースです。

改善点

パソコンのスキルがあっても、それがマイナスに作用しているので、A型事業所やパソコンにこだわらないように別の支援を受けた方が良いと思います。

しかし、Tさんも自己主張が強く、パソコンを使う仕事以外は選ばないですし、同じ事業所の人や事業所の不満をネットで吐き出すのでそれは止めないといけません。

ご家族がもう少し協力的であればグループホームを紹介し、ネット環境から物理的な距離を取ることが解決に繋がると思います。

オフラインでのパソコン利用やリモートワークで直接的な人との関わりを断つのも有効だと思います。

Tさんは学生時代から病気のために孤立していたため、誹謗中傷も人との関わりを持つためなのではないかとも思います。

正常な人間関係を構築してもらうためにはネットからは距離を置くのが最善だと思いますが、それにはご家族の協力が必要です。

先輩福祉士からのコメント

なぜこのようなことが起きるの?

Tさんがネット上で誹謗中傷を繰り返してしまった背景には、統合失調症の症状(妄想的な思考、敵意傾向、被害感情など)が影響している可能性があります。
また、日常でのストレス発散手段が限られており、ネットが感情のはけ口になってしまったのでしょう。
さらに、支援環境側でネット使用管理や言動の注意喚起・支援が十分でなかった点も関わっていると思いますね。

分析とアドバイスは?

まず、Tさんにはネット使用ルールを明確に設け、支援の中で「ネット依存予防」を位置づける必要があります。 たとえば、ネット利用時間の制限・指定場所での使用などを支援計画に組み込みましょう。 また、誹謗中傷動機の根底にある感情(不満、孤独、被害感覚など)に寄り添う対話的アプローチを強化すべきです。 もし投稿が他の入所者を傷つけるものであれば、法的な対応(削除要請、発信者情報開示請求など)も検討し、職員・施設として対応枠組みを整備しておくことが重要です。