障害者施設の事例
施設名: 就労継続支援B型
統合失調症の方を指導員が落ち込ませた事例
対応者
対応者 作業(職業)指導員
対応者 女性
お相手
寝たきり度 わからない
認知症の状況 わからない
性別 男性
事例・対処法の要点まとめ
統合失調症の方の相談に指導員が解決できる素振りを見せ、落ち込ませた。
Kさんと話をする機会を作り、ケアをした。
自分だけの感覚や価値観だけで対応せず、事前に他の職員に相談する必要がある。
トラブルが起きた背景
就労継続支援B型事業所で、指導員のUさんが利用者Kさんから相談を受けました。
指導員Uさんが受けた相談内容は、Kさんのご家族(弟)に関することで、指導員の立場では解決ができない内容だったため、相談が中途半端な結果に終わってしまいました。
利用者Kさんは軽度の統合失調症で、約3年間安定して事業所へ通っていましたが、家庭環境が複雑で、鬱状態になる時期もありました。
ある夏の日に、指導員Uさんは鬱状態のKさんから、2歳下の弟さんとの喧嘩が続いていると相談を受けました。
弟さんが自閉スペクトラム障害を抱えているということ、ご夫婦が協議離婚について話を進めていることを、過去に確認していました。
複雑な事情が重なっていたため、Kさんの弟が家庭内で感情的になり、Kさんと不仲になっていたのです。
冷静に判断すれば、Kさんの悩みについて指導員が単独で関わりにくい状況がありました。
しかし、指導員のUさんがKさんの悩みを聞き、解決できるような素振りを見せてしまったために、Kさんに根拠の無い期待を持たせる結果となりました。
結果的に解決は出来ず、Kさんは落ち込んでしまいました。
事情を知った私と所長で、落ち込んでいるKさんと話をする機会を作り、Kさんの母にも事情を説明して謝罪をしました。
その後、家庭の問題は解決に向かい、Kさんの兄弟関係も改善されたので、通所ができなくなるような事態は避けられました。
しかし大きな問題にならなかったとはいえ、この件に関して指導員Uさんは他の指導員に相談や報告をせずにKさんの相談に乗ってしまっていたので、所長から注意を受けました。
対応者の中での対応
指導員Uさんに相談しても、弟さんとの関係が改善されずKさんは落ち込みました。
その事態に気付いた翌日には、私と所長がKさんと話す機会を設けて、ケアできたのは良かったと思っています。
今回の件では指導員Uさんの仕事の進め方に問題がありましたが、相談や報告がしにくい職場環境があったかもしれないと考え、職員4人で話し合いを行いました。
その後、ミーティングの進め方などを改善できたのは結果的に良かったと思っています。
今後同じ事例が起きた時の対処法
リスクがある問題には自分だけの感覚や価値観だけで対応しない方が良いと思います。
今回の件では指導員Uさんが事前に一言、所長や他の職員に報告、相談していれば防げていました。
利用者Kさん、そしてKさんの母が施設運営や指導員に対して協力的な人であったため、問題が大きくならなかったのだと思います。
福祉施設の指導員がどの程度まで利用者の悩みや相談に関わって良いのかという点については、やはり自分一人での判断に頼らない方が良いでしょう。
複数の職員で話し合った後に最良と思われる方法で対応することが望まれます。