障害者施設の事例

重度自閉症の方が衣服を剥いでしまう事例

事例データ

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対応者

対応者 サービス管理責任者

性別 女性

お相手

対応者

性別 女性

Aさんは特別支援学校に通う重度自閉症をお持ちのお子さんです。

Aさんには衣服を全て脱いでしまうという問題行動があり手を焼いていました。

上衣・下衣だけでなく下着も全て脱いでしまいます。

Aさんは良し悪しを理解しているため、自宅や学校ではそのような行動はなく、優しく接してくれるデイサービス内でその問題行動が多く見受けられました・・・

その問題行動について母親に相談をすると、体罰を含めても構わないため、厳しく指導して欲しいとの要望がありました。

体罰ではなく、Aさんに問題行動なく過ごしてもらうためにはどうしたら良いか会議で話し合い、保護者の承諾を得てロンパースのようなつなぎの服をデイサービスの時は着用するようになりました。

しかし、Aさんにとって問題行動を起こす理由が指導員から気を引きたいという思いからであり、気持ちが満たされずその頃からひどく癇癪を起こすようになりました。

再び会議を開き、しばらくは指導員がマンツーマンでAさんについて遊びや活動時間を過ごすことにしました。

指導員に甘えたい気持ちが満たされ、全く無くなることは無いものの問題行動を起こす頻度は減っていきました。

良かった点

体罰という保護者の要望にそのまま応じず、Aさんの尊厳や権利を守る視点で会議を開いた点はとても良かったですね。

問題行動を「叱って止める」のではなく、環境調整(つなぎ服の着用)という代替手段を検討・実施した姿勢は、支援として適切でした。

行動が悪化した後も「失敗」で終わらせず、再度会議を開き支援方法を見直した柔軟さは評価できます。

マンツーマン対応によって、Aさんの安心感や甘えたい気持ちに気づけたことは大きな学びでした。

改善点

問題行動の背景にある「注目を求める気持ち(アテンション)」の分析が初期段階で十分ではなかった点は改善の余地がありますね。

行動を物理的に抑制する前に、Aさんが安心できる関わりや成功体験を意図的に増やす支援計画を検討できたかもしれません。

問題行動が減った際の「代替行動(甘え方・気持ちの伝え方)」を教える視点があると、より安定した支援につながったと思います。

保護者へも、行動の意味や支援方針を継続的に共有する仕組みがあると、理解と協力を得やすくなりますね。

先輩福祉士からのコメント

なぜこのようなことが起きるの?

Aさんの行動は「服を脱ぐこと」自体が目的ではなく、安心できる相手から注目されたい、関わってほしいという気持ちの表れだったと考えられますね。自宅や学校では起きず、優しく受け入れてくれるデイサービスで多く見られた点からも、環境によって行動が変化していたことが分かります。行動の背景にある感情や欲求を十分に整理しきれないまま対応が進んだことが、癇癪の強まりにつながったと言えます。

分析とアドバイスは?

このケースでは、行動そのものを止めるよりも、行動が果たしている役割(機能)を見立てる視点が重要ですね。自閉症支援では、問題行動の前後を整理する「機能的アセスメント」がとても役に立ちます。注目を求める行動であれば、先回りして関わりの時間を確保し、適切な甘え方や要求の出し方を教えることが欠かせません。制限や抑制が先行すると、不安や混乱を強めてしまうため注意が必要ですね。