障害者施設の事例
施設名: 就労継続支援A型
就労継続支援A型介護福祉士軽度知的障害注意欠如・多動症(ADHD)
対応者
対応者 介護福祉士
対応者 女性
お相手
性別 男性
トラブルが起きた背景
Nさんは35歳の軽度知的障害のある人で、一般企業での就職を目標に、就労支援事業での作業をされていました。
恋愛や性に関しての興味が人並にある方で、誰にでも手を出すわけではありませんが、同じく作業所に通われていた女性利用者とお付き合いをしているのではないかと職員間での噂になっていました。
本人たちのプライベートの話で、作業には支障がなかったため、私たちは温かい目で見守っていました。
ある日、女子高校生の実習生3名が私たちの作業所に実習に来られることになりました。その実習生の1人、Aさんがとても明るくハキハキしており、積極的な性格でNさんが興味を持ったそうでした。学校からも「個人情報を教えてはいけません」と指導を受けていたはずの実習生でしたが、実習生AさんはNさんに最寄駅を訊かれて答えてしまったそうです。
その日の帰り、2名の実習生が実習を終えて最寄駅に行った際、Nさんが駅にいて「今帰り?」と声をかけたそうです。実習生たちは適当な返事をして逃げるように駅を立ち去り、その後Nさんが追いかけてくることはありませんでした。しかし、学校と施設の両方にその報告が入り、問題となりました。
学校側としては「自宅住所のみならず、自分たちの個人情報は絶対に利用者に言ってはいけないと何度も指導していました。今回のようなことがあれば通常は実習中止となります。ですが、うちの生徒は介護福祉士国家試験を控えており、今回が学校生活最後の実習でした。これまで数々の実習を頑張ってきた彼女が、最後の実習中止で国家試験を受けられないとなるとショックを受けると思います。Aさんのしたことはきちんと指導させていただきます。どうか、実習を継続させていただくことはできないでしょうか。」
これに対して施設は「Aさんが最寄駅を教えてしまったことは問題なので、就労支援事業での実習継続は不可能です。しかし、障害者入所施設が併設されていますので、そちらに移って実習を継続させることは可能です。」とのことで、Aさん1名だけ入所へ移ることになりました。
残った2名にはレクリエーションにも参加してもらい、作業だけではなく、就労支援事業でのレクリエーションを通じて利用者との交流を図ってもらっていました。Nさんも少し寂しそうにしていましたが、2名の実習生との交流で笑顔を取り戻していました。
対応者の中での対応
入所施設はほぼ閉鎖的なところで、就労支援よりも行事やレクが少ないです。指導員も厳しい人を担当にしており、学校からも指導を受けたAさん。最寄駅を教えてしまったことは彼女の落ち度でしたが、この件を機に「障害者って怖い」と障害のある人に対して偏見を持ってしまったのではないかと心配です。Nさんは好奇心でとった行動だと思いますが、一般企業に就職して同じことを繰り返さないよう、まだまだ訓練が必要だと判断されました。
恋愛感情、性的感情の自己対処について、日頃からきちんと本人と考えておけば良かったと思います。
今後同じ事例が起きた時の対処法
もし、今後同じようなことがあれば、知的障害の度合いにもよりますし、本人のコミュニケーションレベルにもよりますが、きちんと対話して本人が抱えている恋愛や性の悩みを聞き、それに対する対処を本人に伝わるように説明することを課題として考えていきたいと思います。
利用者の人生は「仕事」が全てではありません。私生活の恋愛や自身の性的感情。様々な観点からその人をサポートできるよう、これからも勉強をしていきたいです。障害がある人にも恋愛をする権利はあり、それを奪ってしまうのではなく、仕事と私生活を両立できるよう支えるのが私たちの今後の課題です。
今回の件を通じて「働くこと」以外のサポートも視野に入れていこうと考えています。