障害者施設の事例
施設名: 自立訓練(機能訓練)
自立訓練(機能訓練)生活支援員身体障害
対応者
対応者 生活支援員
対応者 女性
お相手
寝たきり度 J1
認知症の状況 Ⅰ
性別 男性
トラブルが起きた背景
Tさんは高次脳機能障害を持っているが、自身は頭はしっかりしていて麻痺など身体面の障害だけが問題と考えられている方でした。
障害がある自分を卑下する一方で、丁寧な扱いを受けなければ「馬鹿にしている」「障害者だと思って」といった発言をする傾向にありました。
トラブルは昨年4月ごろのことで、コロナ対策のため施設内でマスク着用を促したことに対する反発を発端に起こりました。Tさんはコロナは気にしないでいいと送迎バス乗車時からマスクを拒否されていました。多数のスタッフからマスクをするように言われたため頑なになり、怒って途中で帰るとまで言い出してしまいました。暴言なども聞かれたため、個別で訓練を担当しているKさんが個室で話を聞くことになりました。
Kさんはまず何に対しての怒りが一番あるかを確認し、本人の希望は何かを聞き出しました。Tさんは、何度も同じことを言われたことについて腹が立ったとのこと。またマスクを買うのも大変だし、片手でうまくできなくてイライラするとも話されていた。Kさんの声掛けは必要最小限にするようスタッフ間でも徹底することを約束し、マスクの手配については担当のケースワーカに相談する旨を伝える。そこで再度バスや施設内ではマスクを着けてほしい旨を話すと、Tさんはわかったと了承された。
その次の利用日からマスクを着けて乗車し、忘れている場合は一度の声掛けで応じてくれるようになっていきました。
対応者の中での対応
TさんとKさんが個別で話すことにより、Tさんの本音を引き出せてそれに応じた対応ができたことが良かったと思います。
普段から馬鹿にされていると気にする方であったため、ご本人の言い分を確認しそれを謝罪、新たな提案ができたためその後はスムーズにかかわることができたと思います。
今後同じ事例が起きた時の対処法
長く施設を利用することにより、支援者と利用者の関係は近くなる傾向にあると思います。
親しみを持った態度で接しているつもりでも利用者からすれば失礼、馬鹿にしている、ぞんざいに扱われたと捉える方もいるということを忘れてはいけないと思っています。
どんなに親しくなっても敬意を払うことが基本だと考えています。Kさんはリハビリスタッフであり、個別訓練の回数が多いためTさんの心情を把握しやすかったかもしれません。
しかし同じ施設に勤めているスタッフ全員が、Tさんの性格や障害特性を理解したうえで関わることができていたら、しつこいと感じるほどの声がけはせずに済んだかもしれないです。
専門分野を理解できなくても、どういった傾向がある人なのかスタッフ全員が共有でき、トラブル時は同様な対応がとれることが理想だと思います。