障害者施設の事例
施設名: 就労継続支援B型
軽度知的障害のある利用者がメンバーを誘って通所を休むようになった事例
対応者
対応者 生活支援員
対応者 男性
お相手
寝たきり度 J1
認知症の状況 Ⅰ
性別 女性
事例・対処法の要点まとめ
軽度知的障害のある利用者が、事業所のメンバーと仲良くなり、メンバーを誘って通所を休むようになった。
根気強く話を聞き、通所を休む理由を把握し、一緒に改善策を考えた。
利用者の行動背景を知るために、十分なアセスメントを行うことが重要。
トラブルが起きた背景
就労継続支援B型事業所を利用しているBさんは、軽度知的障がいがあります。
意思の疎通はしっかりでき、集中できる時間は限られているものの作業能力が高く、明るく社交的でいずれは一般就労を目指していました。
地元を離れグループホームで暮らしており、事業所の他のメンバーとも仲が良く、特に同世代のメンバーの中心となっていました。
しかし、徐々に親しくなったメンバーと夜に出歩くようになったり、他のメンバーを誘って通所を休むようになりました。
誘われたメンバーの中には実家で暮らしている人もいて、保護者から事業所に苦情めいた連絡が入るようになりした。
次第に休むだけではなく、通所してきても作業に取り組まないことや職員との面談にも耳を貸さないことが増えました。
職員MはBさんが通所してきた時に個別面談を行おうとしましたが、面談室にも入ってもらえませんでした。
そのため、一緒に外を歩きながらやご飯を食べながら、なぜ集団で休んでしまったり、作業に気が向かなくなったのかを話しました。
Bさんは幼少期に保護者から虐待を受け、半ば追い出されるように地元を離れた背景があり、事業所内で友人ができ一緒に過ごすことが楽しく作業や通所などは後回しになっていたとのことでした。
本人の心情を踏まえたうえで事業所通所時とプライベートの使い分けについて本人と話し合いました。
しかし、後日作業態度を注意した別の職員に対して暴力をふるったため、退所となってしまいました。
Bさんが退所した後、Bさんが中心であったグループは自然に解散となりました。
対応者の中での対応
根気強く面談を組み本人と話し合うことができた点は良かったと思います。
本人の行動の背景にある心情を聞いたうえで支援を考えることができました。
また、面談の場所を相談室とは限らなかったことで、少しずつ自然な会話ができるようになったことも良かったと思います。
暴力については、衝動的にカッとなってしまった行動だと思われますが、退所となってしまった点は残念でした。
利用契約書内の退所となる要件として「暴力をふるう、他者に危害を与える行為があった場合は退所となる」というような文面があったため、他の利用者への影響を考えると退所とせざるを得ませんでした。
また、本人が通所の意思を失ってしまったことも理由です。
今後同じ事例が起きた時の対処法
本トラブルの改善点として、本人のアセスメントが足りていなかったことが挙げられます。
生活背景や本人の心情を把握し、本人が本当に求めているもの、ニーズの確認をすることで、グループができたとしても通所の目的とプライベートの楽しみを両立できる支援ができたのではないかと考えます。
暴力については予想することはできませんでしたが、結果退所となってしまったため、トラブルがあっても巻き返すことができる体験を得ることができなかったことが悔やまれます。
職員も本人にやり直す支援ができなかったため、今後はトラブルがあった後、どう乗り越えるかを本人と一緒に考える支援を考えていく必要があると考えました。