障害者施設の事例
支援員の不適切な言動により利用者が傷ついた事例

事例データ
投稿者
対応者 生活支援員
性別 女性
お相手
性別 女性
私が支援員として所属していたグループホームで生活をしておられる利用者Kさんは、就労継続支援B型に所属しており、お話することがとてもお好きな方だったので支援員とも普段からよくコミュニケーションを図っておられました。
Kさんはとてもお腹が出ており、支援員がよくKさんに「お腹が出ているね」「痩せたほうがいい」等と言っていました。
支援員にそう言われたことで自分のお腹をとても気にされるようになり、自宅に帰ってからも体重計によく乗るようになったとKさんのお母様から就労継続支援B型の職員に報告がありました。
お母様より「お腹が出ているのは決して肥満というわけではなく、幼児体型であるだけなのであまりお腹のことは言わないでほしい。本人も気にしている。」と言われました。

確かにKさんはお腹以外はとても細身でどちらかと言えば痩せ型の体型であり、お腹も触り心地としてたるんでいるというよりは詰まっている、という感じでした。
お母様からの伝言を支援員全員で共有し、Kさんに対して体型に対する発言は控えるようにしました。
また、Kさんは平日はグループホームで生活をしているので、グループホームの支援員にも情報共有してほしいと就労継続支援B型の職員から連絡があり、全員に情報共有しました。
良かった点

Kさんの体型に関してお母様からの貴重な情報をしっかり受け止め、支援員全員で共有できたのは本当に良かったと思います。
本人の気持ちを尊重して、体型の話題を控えるようにした対応は、Kさんの自己肯定感を守る上で大切だと思います。
普段からKさんとコミュニケーションが取れていたことも、信頼関係の土台になったと思いますし、他の職員とも連携して情報共有ができたことはチーム支援として理想的でした。
また、就労継続支援B型とグループホーム間で連絡をし合い、生活の場での支援が一貫していたのも安心感につながったと思います。
改善点
ただ、最初に支援員から「お腹が出ているね」「痩せたほうがいい」といった発言が出てしまったのは反省点ですね。
身体的特徴については、本人がどう感じるかをよく考えた上で発言する必要がありました。

支援者として本人の尊厳を守るためにも、安易に体型のことを指摘するのはいけません。
今後は、支援員への研修や意識啓発を進め、身体的特徴や障害に関する理解を深めることが必要だと思います。
加えて、お母様からの情報を受けた後の対応は良かったですが、最初から家族や利用者の意向を確認する体制づくりも強化したいと思っています。
先輩福祉士からのコメント
なぜこのようなことが起きるの?
Kさんへの体型に関する不適切な言動は、支援員が利用者の感受性や背景を十分に理解せず、軽率に発言してしまったことが原因ですね。
身体的特徴については特に繊細な話題なので、配慮が欠けると利用者の自己肯定感を傷つけてしまいます。
安易な発言は信頼関係を壊しかねないので、十分注意しなければいけません。
分析とアドバイスは?
身体的特徴については、支援員が本人や家族の背景や感情をしっかり把握してから言葉を選ぶことが大切です。 支援者自身の無意識のバイアスに気づき、自己点検する研修も効果的ですよ。 また、日頃から利用者の尊厳を守るためのコミュニケーション技術や心理的安全性の確保を意識し、チーム全体で共有・振り返りの時間を持つこともおすすめです。
参考文献
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障害のある人を理解し、配慮のある接し方をするための ガイド
https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/cmsfiles/contents/0000006/6422/guidebook0501.pdf -
障害者とのコミュニケーションは難しい?理解や対応の仕方で大切なこととは?
https://pekoe.ricoh/pekomaga/communication-muzukasii