障害者施設の事例
施設名: 就労継続支援B型
職員の情報共有が不足していた事例
対応者
対応者 生活支援員
対応者 男性
お相手
寝たきり度 J1
認知症の状況 Ⅰ
性別 女性
事例・対処法の要点まとめ
職員の情報共有が不足しており、各職員がバラバラの情報を把握していた。
毎朝のミーティングで情報共有を行うようにした。
職員同士で協力して支援することが大切。
トラブルが起きた背景
精神障がい者の共同作業所で、職員の私が職場に問題提起しました。
私が共同作業所で働き始めた頃は、運営が上手く進んでいない状況が有りました。
いくつか運営上の問題がある中で、特に私が気になったのは情報共有の問題でした。
利用者についての情報を、職員がバラバラで把握している状況だったのです。
例えば、女性の利用者が男性への対人関係でのトラウマがある場合には、その悩みを女性職員に話すことが多いのですが、その相談内容について、相談を受けた女性職員だけが把握しているという事がありました。
Tさんは中学生の頃に父親から(性的なものを含めた)暴力を受けた経験が有りました。
そのことが原因で鬱病を発症して、辛い摂食障害も体験されたのです。
このような体験は女性職員の方が相談しやすいのは当然ですから、それで良いのですが、どういった経緯でTさんが悩み、どのような対人恐怖症で苦しまれているのか他の職員も知っておく必要があります。
なぜなら他の利用者が休憩時間などに性的なことや、少し乱暴なことを冗談で言ったりすることは常にあるからです。
その場合、職員はTさんが傷つかないように配慮しなければなりません。
どの職員も全ての利用者の健康状態や悩み事などを把握しておく必要があります。
職員がマンツーマンの形で利用者を支援する状況では無いので、職員同士が協力や連携をして利用者を支援しなければなりません。
当然と言えば当然のことなのですが、意外に福祉への情熱が強い職員の方が、情報を自分だけで把握するという傾向が有りました。
私の職場への提案によって、毎朝のミーティング時に職員同士で話し合い、全ての利用者に関しての情報を共有する習慣が職場に浸透しました。
こういった改善によって、例えば先に書いたTさんに対しても、職員はその深刻な悩みや精神的なトラウマを傷つけることなく接することが出来るようになりました。
対応者の中での対応
職場は常に慌ただしい状況だったのですが、自発的に問題を提起して速やかに改善を行えたのは良かったと思っています。
職員同士が情報を共有することで、各々が落ち着いて利用者に接することができるようになったのです。
また、一人の利用者が抱える問題について複数の職員から的確な改善案が出されるようになりました。
情報の共有は、利用者を支援するための大きな効果を生むと思います。
今後同じ事例が起きた時の対処法
職場環境や業務に関しての改善は、それが施設利用者のためになるものであれば、どんどん職場に提案したら良いと思います。
職員も人間ですので、自分と相性の良い利用者や自分を頼って来る素直な利用者については心配になり、自分が何とか助けてあげたいと思うものです。
しかし職員は自分一人だけの力で利用者を支援するべきではありません。
一人の職員の力など、それほど大きなものではないからです。
利用者のことを支援したいと強く思うのであれば尚更、職員同士で協力して支援する方が良い結果を生むと思います。