障害者施設の事例

スタッフ間で最重度知的障害の方の特性共有不足事例

事例データ

投稿者

対応者

対応者 児童指導員

性別 女性

お相手

対応者

性別 男性

放課後デイサービスで初めてYT君のケアを担当していたところ、その日は最初から不穏で、安心ルーム(静養室)で過ごしプログラムには参加していませんでした。

その後、落ち着いたと思い他の児童と一緒に過ごそうとしたところ、動きが激しくなり部屋から急に飛び出したため壁に頭をぶつけてしまい、その衝撃に驚いたのかさらに頭を自ら打ち付け続けました。

おでこから多量の出血が見られるため保護者へ連絡し、病院へ付き添いました。

その後は落ち着いて診察を受けて、おでこを数針縫う怪我となりました。

原因については、私が初めて担当したことや、プログラムの内容などが事前に知らされたものと違うことが考えられます。

こだわり行動から衝動性や自傷につながった体験でした。

そのような彼の特性を園内でしっかり共有できていたのかが教訓となりました。

良かった点

園内での怪我については予防していますが、稀にあるのでその際のマニュアルに従って対応しました。

欲を言えばもう少し人数をかけてあげられれば、ここまで酷くなる前に助けられたのではないかと反省しています。

改善点

障害の特性をしっかりスタッフ内で共有することが、大切だと痛感させられた経験です。

発達障害ということでカテゴリーされていますが、一人一人の状態は様々ですが、同じ園内でプログラムに参加しているため、対応されるスタッフの方はとても大変だと思います。

一方で保育士としては保育園とは違い、少人数のお子さんに対して、一人一人をしっかり見てあげられる環境でもあるので、そこをやりがいとして感じられる環境でもあります。

私自身も自分の目の前で怪我人が出て大変ショックでしたが、これを経験に自分のスキルアップを図り子どもたちの対応をしています。

先輩福祉士からのコメント

なぜこのようなことが起きるの?

YT君の自傷・激しい動きは、おそらく「特性と環境のミスマッチ」が契機になったのですね。
支援員側に事前共有が不十分だったため、彼のこだわりや不安感が許容量を越え、そのストレスが自傷行為として爆発してしまったのでしょう。
予測できない状況では本人が不安定になりやすく、危険性が増します。

分析とアドバイスは?

まず、最重度・高リスクの方については、担当する全スタッフが事前に「行動パターン・トリガー・落ち着かせ方」などを共通理解しておくべきですね。 行動記録を細かくとってパターンを分析し、「予測モデル」を作るといいですよ。 また、安全確保のために環境調整(衝撃緩和素材、動線の制限、クッション付き壁など)を行い、さらに意図的な切り替え刺激(安心ルーム、穏やかな音・光)を用意しておくことを強くおすすめします。 支援は“予防と準備”が命です。