障害者施設の事例

社会不安障害の方が職員に笑われたと誤解した事例

事例データ

投稿者

対応者

対応者 作業(職業)指導員

性別 男性

お相手

対応者

性別 男性

Sさんは統合失調症の症状を持つ利用者の方で、社会不安を抱えている利用者の方と説明を受けており、当時作業においては施設の利用者と分けて作業をお願いしていました。

徐々に他の人たちと共同で作業するという方針が良いと判断し、当時は別途一人で作業をお願いすることとなったのですが、Sさんは指導員が自分を見て笑ったということで怒りを覚え、スタッフを突き飛ばすというトラブルを起こしてしまいました。

なお、Sさんを笑ったとされる職員はスマートフォンで検索をしていて、スタッフ間の連絡を見ていただけでSさんの方は実は見ていないことが分かっており、カメラの映像を見るにSさんを見て笑った様子は映し出されていませんでした。

結果、Sさんの施設利用は難しいであろうという判断になり、職員の安全を重要視するため施設利用を中止と判断しました。

良かった点

Sさんの症状や社会不安を把握したうえで、当初は他利用者と分けて作業を行うなど、個別性を意識した支援が行われていた点は適切でした。

トラブル発生後、カメラ映像や事実確認を行い、感情的な判断ではなく客観的な情報をもとに状況整理をした点は評価できます。

職員への暴力行為があった際に、利用者本人だけでなく職員の安全確保を最優先に判断した点は、組織として非常に重要な対応でした。

改善点

個別作業から共同作業へ移行する際、Sさん本人への十分な説明や段階的な環境調整が不足していた可能性があります。

統合失調症の特性上、「見られている」「笑われた」といった被害的解釈が起こりやすいため、職員の立ち位置やスマートフォン使用など、誤解を生まない配慮が必要でした。

怒りや不安が高まった際の対応手順(クールダウン場所、声かけ方法、複数職員での対応など)を事前に共有できていれば、暴力行為を防げた可能性があります。

施設利用中止に至る前に、主治医や相談支援専門員との連携をより早期に行い、支援方針の再検討ができた余地もありました。

先輩福祉士からのコメント

なぜこのようなことが起きるの?

Sさんは統合失調症と社会不安を抱えており、周囲の視線や表情を「自分に向けられた否定的なもの」と受け取りやすい状態だったのですね。環境を変えるタイミングで十分な心理的準備が整わないまま状況が動いたことで、不安や被害的な受け止めが強まり、「笑われた」という誤解につながってしまったと考えられます。症状特性と環境変化が重なった結果ですね。

分析とアドバイスは?

統合失調症や社会不安のある方は、曖昧な刺激を否定的に解釈しやすいですね。悪意がなくても誤解が生じる前提で支援しなければいけません。作業移行時には視覚的な説明や事前リハーサルを行い、職員の行動も「見られても誤解されにくい配置」を意識することが大切です。また、不安が高まった際のクールダウン対応を事前に共有しておくことが、事故防止につながりますよ。