障害者施設の事例
施設名: 病院
統合失調症の方がトイレで喫煙し引火した事例
対応者
対応者 看護師
対応者 女性
お相手
寝たきり度 わからない
認知症の状況 わからない
性別 男性
事例・対処法の要点まとめ
統合失調症の方がトイレで喫煙し引火した
他患者からの報告で鎮火活動をしたものの、喫煙した利用者は全身70%の熱傷
抑制された生活でも、その人らしく生きる場所を提供する仕方を考える必要がある
トラブルが起きた背景
Iさんは反社会勢力に属していて覚醒剤を乱用されていました。
その後統合失調症を発症されて社会適応が難しくなり、身寄りのない生活保護の方を多く受け入れている病院へ入院となりました。
私は派遣で数日こちらで勤務していました。
Iさんは通常時はほぼ安定しているのですが、時にこだわりや執着が強くなり他者を敵視し自分の領域に入れさせないといった特徴がありました。
なので、険しい表情の時は様子を観察して、積極的な関わりは避けていました。
日中行方不明となり捜索活動をしていたのですが、私は勤務時間を過ぎたのでその日は帰宅しました。
翌日出勤したら敷地内に入ってすぐ異臭を感じ、病院内に入ると天井が黒くなっていました。
詰め所へ行くと隣の観察室にIさんが全身ガーゼに包まれて酸素管理されていました。
経緯は、タバコを吸いたくなり院外へ買い物へ。その後帰院し病院のトイレで喫煙したようです。その際にタバコの灰が足元に落ちて引火、身動きが取れなくなったIさんはそのまま便座に座り込み火傷を負いました。
煙に気付いた他の患者様がスタッフに報告し、急いで鎮火活動をしたそうです。
大火事とはなりませんでしたがIさんは全身70%の熱傷を受け命の危険にさらされました。
対応者の中での対応
直接的にはこの事件に関わってはいないんですが、事前に喫煙をしたいという情報を収集することが出来ていればよかったかなと思います。
解決策を一緒に見出すことが出来ていれば、Iさんが利己的な行動には出なかったのではないかとも思います。
今後同じ事例が起きた時の対処法
この件を未然に防ぐことが出来たのかを問われると、「外出許可の取り締まり」「院外へ出れないよう、更にバリケードの見直しをする」など抑制的な意見が多くありました。
しかし一人の人間として見たとき、その人の自尊心や主張を踏まえながら安全策を考えるのが私たちの役目でもあります。
確かに院内での喫煙は禁忌です。
しかし喫煙歴のあった方が止むを得ず入院となった場合、気分転換やリフレッシュの時間としてスタッフが同行の上、喫煙所へ行く時間を設けてもいいんじゃないのかと思いました。
精神疾患を持っていても一人の人間です。
抑制された生活では楽しさを失い、自暴自棄にさせBPSDを誘引してしまいます。
私たちは一人の人間として関わり方を真摯に考え、その人らしく生きる場所を提供する仕方を考える必要があるのではないかと振り返りました。