障害者施設の事例
施設名: 共同作業所
利用者が交通事故を起こし事業所へ電話した事例
対応者
対応者 作業(職業)指導員
対応者 男性
お相手
寝たきり度 J1
認知症の状況 Ⅰ
性別 男性
事例・対処法の要点まとめ
利用者が交通事故を起こし、ひどく混乱した様子で事業所へ電話した。
現場に駆け付け、対応した。
共同作業所と関係のない場所や時間帯でのトラブルについては、家族に対応してもらう原則を周知することが大切。
トラブルが起きた背景
相談を受けたのは共同作業所でした。
Hさんは見た感じは アパレル店員のようなお洒落な男性なのですが、緊張すると唇や指が震えることを悩んでる青年です。
夏のある日の午後、Hさんから共同作業所に電話がかかってきました。
原付バイクに乗っていて 車と接触してしまったという連絡でした。
かなり説明が しどろもどろでしたので混乱しているのは分かりました。
しかしケガは無く、その日はHさんは来所日ではなく共同作業所とは関係のない時間、場所での事故でしたので、どのように対応するかで職員間で意見が分かれました。
本来であればご家族(両親と成人した弟)がおられるので、ご家族に 対応していただくのが正しいと思ったのですが、事故直後で混乱して「家族には連絡できない」との事でしたので私が現場まで行きました。
事故の内容は、Hさんが交差点で信号が赤から青に変わった時に急発進して横にふらついたところを後続の車が接触したというもの。
どこまで私が事故に関わって良いのか分からなかったのですが、興奮して混乱しているHさんでは事故後の対応は無理であり、且つ相手の車の運転手も困っている状況でしたので対応しました。
私は覚悟を決めて相手の運転手と話をして、Hさんの運転に問題があった点は謝罪してから(精神の病があるとは言えない)示談で解決する方向で話を進めました。
相手の運転手も混乱するHさんの様子を見て状況を察してくれました。
ですので、その後は無事に壊れたバイクを保険で修理してもらい、Hさんも落ち着いた状態で普段の生活に戻られました。
対応者の中での対応
内容が交通事故ということもあり、またHさんが興奮や混乱しているのは電話連絡を受けた時点で分かりましたので、すぐに現場に駆け付けたのは 正しかったと思っています。
Hさんは 事故当時は自身の心の病を乗り越えようと努力して、コンビニでのアルバイトを始めようとしていた時期でした。
もしも交通事故が原因で アルバイトする気力などが無くなれば、せっかくの彼の努力が無駄になってしまうという思いが私には有りました。
今後同じ事例が起きた時の対処法
Hさんにはご家族がおられたので、もちろん本人から連絡はして貰いましたが、ご家族が事故現場に駆け付ける様子はありませんでした。
ですが本来であれば共同作業所の職員である私ではなく、ご家族が対応する場面であったと思います。
決まり事として、共同作業所と関係のない場所や時間帯でのトラブルについては《ご家族で解決をしていただく》という原則は共同作業所の利用規約に明記しておいた方が良いのだと感じました。
しかし仮に利用規約に そのように明記していても実際に利用者から助けを求められたら 職員は駆け付けるのが実情かも知れません。(他の似たようなケースでもご家族が動いてくれない事例は多くありましたので)
今回の件で、私以外の職員には「厄介なことに関わりたくない」という感覚の者もいたのですが、困っている利用者を放置するわけにはいかないのだから、保護のためなら迷わずに動くべきだという意識は職員間で共有しておきたかったと今でも思っております。