障害者施設の事例

施設名: 共同作業所

共同作業所作業(職業)指導員精神障害3級うつ病

対応者

対応者

対応者 作業(職業)指導員

対応者 男性

お相手

対応者

寝たきり度 J1

認知症の状況

性別 男性

事例・対処法の要点まとめ

共同作業所の利用者17歳のKさん。
強迫神経症を抱えておられて、中学校を卒業してからは家に引きこもっていた。
他の利用者との年齢差もあったこと、そしてドアのノブやコップなどを触るのが難しい症状があった為、共同作業所に通うことが出来ずにいた。
家族の要望に応えて無理に通わせようとして余計に遠ざかってしまった経緯があったので、慎重にKさんと接していこうと決めた。
テレビゲームが好きと知っていたので、テレビゲームを休憩室に確保し、一緒にゲームをした。
Kさんは次第に心を開いてくれて、「イラストを描いたりするのが好きなのでデザインを勉強するような進路を望んでいる」と教えてくれた。
他の利用者とも一緒にゲームをするようになり、最終的に作業所に通えるようになった。

本来、共同作業所では利用者のために個人的な時間を確保するのは(職員の人員や時間の関係もあり)難しいのですが、今回のKさんの場合、何度かは通われた経験があること、潔癖という強迫神経症の症状に配慮さえしてあげれば、また通えるようになると思い、個別でフォローすることを決めた。
結果的にKさんが引きこもり生活を終わらせることができたので、私が臨機応変に職員や他の利用者と協力して、Kさんを迎え入れる調整をしたのは良かったと思っている。
保護者(母)の《息子を何とかしてやりたい》という思いが逆にKさんを追いつめていたので、第三者として関わることを決めた。

もう少し早くに保護者との面談時間を作り、親子間で心理的に適切な距離を保つ、というような第三者の客観的なアドバイスができたら良かった。

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トラブルが起きた背景

共同作業所の利用者の中で 当時最も若かった17歳のKさん。
強迫神経症を抱えておられて、中学校を卒業してからは家に引きこもっておられました。
他の利用者との年齢差もあったこと、そしてドアのノブやコップなどを触るのが難しい症状をお持ちでしたので、Kさんはなかなか共同作業所に通うことが出来ずにいました。(手を一回だけ洗うのに200mlの洗剤を丸1本も使う状態であると保護者から相談を受けていました)
私がその共同作業所で働くよりも前に、職員が家族の要望に応えて無理に通わせようとして余計に遠ざかってしまった経緯がありましたので、私は慎重にKさんと接していこうと決めていました。
引きこもり生活での唯一の楽しみがテレビゲームであると知っていたので、私は(他の利用者も休憩時間にくつろげるように)テレビゲームを休憩室に確保しました。
そして夕方、他の利用者がいない時間帯にKさんをテレビゲームに誘いました。
極度の強迫神経症であったので来られるか心配しましたが、彼は静かに部屋に入って小さく会釈してくれました。
1時間ほどゲームをしました。
私から冗談っぽい声掛けをするだけでKさんが声を発することはありませんでしたが、Kさんが小さくうなずくとYesで、返事が無ければNoという感じでコミュニケーションを取りました。
「いやでなければまた一緒にゲームをしよう」と声をかけてその日はKさんは帰られました。
私から誘って夕方に1時間ほど一緒にテレビゲームをする。そしてKさんは帰っていく。そのようなことを3回ほど繰り返したある日のこと、Kさんが短い言葉で自身の思いを話してくれました。
その内容は《イラストを描いたりするのが好きなので。デザインを勉強するような進路を望んでいる》
というものでした。
Kさんは長い間、家に引きこもりゲームだけの生活をしているように家族から見られていたのですが、本当は希望を持っておられて一人で考えたり悩んだりされていたのです。
その次の時には落ちついた大人の利用者Aさんも誘って、Kさんと私との三人でテレビゲームをしました。
次の時には4名、その次は5名で。と人数を増やしていきました。
そして最終的には、通常の時間帯や利用者数がある時でもKさんは来所できるようになりました。

対応者の中での対応

本来、共同作業所では利用者のために個人的な時間を確保するのは(職員の人員や時間の関係もあり)難しいのですが、今回のKさんの場合、何度かは通われた経験があること、潔癖という強迫神経症の症状に配慮さえしてあげればまた通えるようになる思いがしましたので、個別でフォローすることを決めました。
結果的にKさんが引きこもり生活を終わらせることができたので、私が臨機応変に職員や他の利用者と協力して、Kさんを迎え入れる調整をしたのは良かったと思っております。
保護者(母)の《息子を何とかしてやりたい》という思いが逆にKさんを追いつめているようにも思いましたので、第三者として関わることを決めた次第です。

今後同じ事例が起きた時の対処法

私に不足していた点があるとするなら、もう少し早くに保護者との面談時間を作った方が良かったという点です。
私がKさんをゲームに誘い面談できた日よりも前に、家庭内での親子のコミュニケーションの取り方を保護者にもっとアドバイス出来ていたかも知れません。
Kさんの母親は息子に対する思いが強すぎて、ほぼ依存しているようにも思える状態でしたので。
親子間で心理的に適切な距離を保つ、というような第三者の客観的なアドバイスが必要でした。

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