介護施設の事例

利用者が頻繁にトイレに行きたいと訴える事例

事例データ

投稿者

対応者

対応者 介護職員

性別 男性

お相手

対応者

寝たきり度 A1

認知症の状況 Ⅱb

性別 女性

グループホームに入居されているMさんは1日で15回くらいトイレに行かれていました。

回数が多く、時には尿が出ないこともありますが、Mさんがそれで落ち着くようなのでその都度対応していました

しかし認知症が進行したせいか、頻回さが更に増し、トイレに行った直後に「トイレに行きたいの」と言われるようになったのです。

さすがにこの訴えには答えられず再度トイレにお連れすることはないのですが、Mさん自身にとってトイレに行きたいという気持ちは事実です

最初は諦めていたMさんですが、突然「どうして連れて行ってくれないの!」と激怒されました。

リビングのテーブルを叩いたり押したりと暴力的な行動も見られます。

周囲の方が不穏になってしまうこともあり、その際はすぐにMさんをトイレにお連れします。

しかし排尿はなく、トイレから出てすぐに「トイレに行きたいの」と話されることの繰り返しです。

その後、精神科受診時にご様子を伝え、頓服として薬を処方され、経過観察することになりました。

また泌尿器科の受診も行い、こちらの服薬治療も始まりました。

良かった点

Mさんのご様子の変化を記録し、受診時に事実を医師に伝え対応したことは良かったと思います。

Mさん自身への対応として、声掛けのみを行うのではなく、折り紙やリビングの飾り作りなど何かすることを提供すべきだったとも思います。

改善点

トイレに行きたいと頻回に訴える方はどこの施設にもいらっしゃると思います。

日中のみの方もいれば、夜間においても頻繁にコールする方もいます。

基本的に利用者の訴えには都度対応すべきですが、このケースの場合、すべての訴えに対応すると、Mさんは食事以外の時間ずっとトイレにいることになってしまいます。

そのため、介護職員としての経験から声掛けの仕方を考えたり、トイレから気がそれるよう洗濯物たたみを手伝っていただくなどの対応をすべきだと思います。

リビングに何もせず座っているだけでは退屈で、何となくトイレに行きたいという気持ちになるのかもしれません。

利用者様が退屈しないよう、趣味となるようなことを提供するとともに、医療との連携にて対応すべきと考えます。

先輩福祉士からのコメント

なぜこのようなことが起きるの?

Mさんが頻回にトイレを訴え、対応に激怒を示したのは、認知機能の低下によって直前の行為を忘れてしまったり、尿意とトイレのタイミング認識がズレてしまうなどの“見当識障害・記憶障害”も関係していると思います。
加えて、トイレ誘導だけでは気持ちを落ち着かせられず、環境的刺激や不安が重なって感情が高ぶってしまったのでしょう。

分析とアドバイスは?

こういう事例では、まずは 排尿パターンの記録(排尿日誌) をとって、トイレを訴える時間帯や回数・量を可視化すべきですね。 次に、 トイレ誘導のタイミング設定(例えば一定間隔誘導) を支援計画に入れるといいです。 また、トイレ以外の活動(手芸、折り紙、話し相手など)を用意して「気をそらす選択肢」を持てるようにすると、トイレ訴えの頻度を抑えやすくなります。 最後に、医療機関との連携を密にし、泌尿器科・精神科双方の観点から評価・調整ができる体制を整えることが大切です。