介護施設の事例
施設名: 有料老人ホーム
利用者に事務員が家族の仲を裂こうとしていると勘違いされた事例
対応者
対応者 生活相談員
対応者 女性
お相手
寝たきり度 B1
認知症の状況 Ⅲa
性別 女性
事例・対処法の要点まとめ
利用者に事務員が家族の仲を裂こうとしていると勘違いされた。
息子さんがどうしてもKさんと向き合ってくれないので、Kさんの被害妄想を私以外の人間が傾聴して落ち着いてもらっています。幸いと言ってはいけないのですが、Kさんに物忘れの症状が出始めているので被害的な妄想も治ってくれればと祈るばかりです。 悪かった点としては、その場しのぎの嘘で対応していたことです。Kさんが諦めることができて、かつ一貫した理由を熟考して用意しておくべきでした。良かった点としては、自尊心の高いKさんに本当のことを伝えずに傷つけずに現状を維持していることです。高齢になり、家族と離れて施設で生活する方を落ち込ませるようなことはしたくありません。
Kさんが息子さんとの関わりを諦めることができるような理由をあらかじめ考えておいて、その理由を一貫して指示すれば良かったと思います。息子さんにもご協力いただいてどういった対応をすべきか、どういった理由ならKさんは納得するのかを聞き取っておけば良かったです。
トラブルが起きた背景
Kさんは若いころ、この方の時代にしては珍しくお勤めに出ておられ、婦人会の会長を担うなど大変しっかりとした方です。ご年齢のわりには認知症は軽い方だと思います。自尊心は非常に高く、高慢な態度で他者に指示をするので周囲とのトラブルが絶えません。そんなKさんには一人息子がいます。残念ながらこの息子はKさんを嫌っていて顔も見たくないと言っています。過去にKさんの性格が災いして親子関係に確執が出来てしまったようです。しかしKさんには息子との間に確執がある自覚はなく、とにかく息子を溺愛しています。しょっちゅう息子さんに会いたい、電話をかけてくれと事務員の私に訴えます。しかし息子さんにKさんとの取次をしないでくれと言われている為、その時々で嘘をついて対応していました。「今日は仕事だからご都合が悪いようですよ」とか「出張に行っているみたいですよ」といった調子です。Kさんに本当の事は言えませんからね。するとKさんはある日「ここの事務員は家族との仲を引き裂こうとしている。息子から私を引き離して息子を騙すつもりだ。私の財産を横取りするつもりだ」と被害妄想が大きくなって不穏な状態になってしまいました。よその家族間の板挟みになってその挙句、悪者扱いをされてしまいました。息子さんに事の顛末を話すと丁寧な謝罪がありましたが状況は相変わらずです。Kさんに敵視されています。
対応者の中での対応
息子さんがどうしてもKさんと向き合ってくれないので、Kさんの被害妄想を私以外の人間が傾聴して落ち着いてもらっています。幸いと言ってはいけないのですが、Kさんに物忘れの症状が出始めているので被害的な妄想も治ってくれればと祈るばかりです。
悪かった点としては、その場しのぎの嘘で対応していたことです。Kさんが諦めることができて、かつ一貫した理由を熟考して用意しておくべきでした。良かった点としては、自尊心の高いKさんに本当のことを伝えずに傷つけずに現状を維持していることです。高齢になり、家族と離れて施設で生活する方を落ち込ませるようなことはしたくありません。
今後同じ事例が起きた時の対処法
Kさんが息子さんとの関わりを諦めることができるような理由をあらかじめ考えておいて、その理由を一貫して指示すれば良かったと思います。息子さんにもご協力いただいてどういった対応をすべきか、どういった理由ならKさんは納得するのかを聞き取っておけば良かったです。
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