介護施設の事例
施設名: 特別養護老人ホーム
職員の叱責により利用者が自傷行為を行う事例
対応者
対応者 介護職員
対応者 女性
お相手
寝たきり度 わからない
認知症の状況 Ⅱa
性別 男性
事例・対処法の要点まとめ
職員の叱責により利用者が自傷行為を行った
トラブルを先輩に報告し怪我の有無を確認、利用者の好物を提供して気持ちを落ち着かせた
トラブルが起きる前に職員の態度を報告し、利用者への対応も相談すべきだった
トラブルが起きた背景
Sさんは認知症と身体障害(下半身の麻痺)がある方でした。
他の利用者やスタッフとお話しするのが好きな方だったため、自発的に車椅子で他者の近くに駆け寄り挨拶や「今日はいい天気だね」など簡単なコミュニケーションを取られていました。
施設の意向としては、簡単なコミュニケーションを取られた後は満足して席へ戻られ穏やかに過ごされていること、その一連のルーティンがご本人の精神的な安定に繋がっていることを踏まえ席へと無理に戻すことはせず、職員の見守りの中で日中は共有フロアにて自由に動いて過ごしてもらいました。
ある男性中堅職員(仮にOさんとします)はその対応について「万が一のため転倒事故を防ぐためにもすぐに席へと戻すべきだ」と納得されていないようでした。
ある日、施設の意向に反しOさんがSさんを無理やり元の席へ戻してしまう場面がありました。
「貴方の席はここなんだから!」と何度も怒鳴りつけ、Sさんを席にねじ込むような形で車椅子を押し込んでいました。
毎日のルーティンを崩されてしまったことで不穏になったSさんはその日はずっと「俺をバカ扱いしている!」と怒鳴り声をあげたり、手でテーブルを叩いたり車椅子からわざとずり落ちようとする行為を繰り返していました。
当時Oさんと新人の私が一緒にフロアを見守りしており新人の私はOさんの言いなりになるしかなく、また不穏になったSさんの対応を丸投げされてしまい困惑しました。
対応者の中での対応
他の先輩職員が引き継ぎに来たタイミングでトラブルを報告しました。
怪我の有無を確認し怪我はなかったため看護師は呼びませんでした。
先輩の指示により、Sさんの好きなゼリーをお出しすることで気持ちが落ち着くように対応しました。
後日会議が開かれSさんへの対応について再度「無理に席には戻さない」ことで共有がされましたが、OさんからSさんへの態度が変わることはありませんでした。
また、内部の通報によりOさんが他の利用者に体罰を行っていることが発覚しました。
管理職の話によると「おむつ替えや事務作業は得意だが性格的にコミュニケーションが苦手だ。日勤中は徘徊する利用者も多く対応しきれず当たりが強くなってしまった」と弁明していたそうです。
Oさんは日勤より比較的落ち着いている夜勤専従職員として配置換えされることになりました。
また中堅以上の職員と一緒のシフトに固定されていました。
悪かった点は、まずOさんからSさんへの当たりの強さはトラブルのある以前から目撃していたため、その時点で先輩職員に相談するべきだったと反省しています。
良かった点は、トラブルをすぐ先輩職員に報告できた点です。
今後同じ事例が起きた時の対処法
まずOさんからSさんへの当たりの強さはトラブルの起こる前から度々目撃していたため、その時点で先輩職員に相談するべきだったと後悔しています。
また利用者様が不穏になられた場合の対処法について自分の中で傾聴しか考えが浮かばなかったため、あらかじめ先輩方に訊いておくことで自傷行為に発展することを防げたのではないかと反省しています。
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