介護施設の事例

高次脳機能障害の方がスタッフにセクハラ行為をした事例

事例データ

投稿者

対応者

対応者 理学療法士

性別 男性

お相手

対応者

寝たきり度 J2

認知症の状況 Ⅲb

性別 男性

Kさんは脳血管障害後の高次脳機能障害、重度の認知症があります。

動作レベルは、歩行は自立されており独歩で施設内を歩き回ることができ発話も多く多動的な方です。

リハビリでは施設内外の歩行を中心に実施していました。

ある時、周囲の目が気になるため自室でリハビリをしてほしいと要望があったため、Kさんの部屋でリハビリをしました。

ベッドで上下肢を動かしているとKさんから抱きつかれて性交をしてほしいと迫られました・・・

良かった点

その場では落ち着くように言い聞かせて、それはできませんとはっきりと拒否しました。

その後は誰にも報告せず経過しましたが、再度リハビリ時に同様な行為があったので施設・ケアマネに相談してKさんのリハビリ担当から外してもらいました。

また男性スタッフだと同様のことが起こるといけないので女性スタッフに代わってもらいました。

問題が起こった後すぐに報告できなかったことは悪かったと思います。

報告しないので再度同じような行為を招いてしまったと思っております。

再度同様に起こった後の報告、リハビリスタッフの変更は迅速に対応できたと思っております。

改善点

まず利用者の精神面、認知面の詳細な評価をした後に、どのような行動をするかを予想する必要があると感じました。

その上で、人目のない自室などの二人きりになるところでリハビリをしないような対策が取れると思いました。

先輩福祉士からのコメント

なぜこのようなことが起きるの?

Kさんの高次脳機能障害と認知症の特性が、感情抑制や行動制御を難しくさせているからですね。
環境が二人きりになったこと、視線や期待のズレ、混乱や興奮が誘発されやすい状況が重なったため、不適切な性的要求が起きてしまったと考えられます。
こういうことは、予測と準備なしでは防ぎにくく、対策が甘かったといっていいでしょう。

分析とアドバイスは?

まず、リスクが高い状況(個室、二人きり、暗所など)でのリハビリは禁止線を引いておくことが大事ですね。 担当交替を含めた人員配置と、複数人体制での対応を優先しましょう。 また、Kさんの行動予測モデルをつくり、どの条件で言動が出やすいかを分析しておくこと。 スタッフ全体にハラスメント対応ガイドラインを周知し、「セクハラ被害を申告できる仕組み」を制度化することも不可欠ですよ。