介護施設の事例
施設名: 養護老人ホーム
養護老人ホーム相談支援専門員なし
対応者
対応者 相談支援専門員
対応者 女性
お相手
寝たきり度 J1
認知症の状況 Ⅰ
性別 男性
トラブルが起きた背景
Kさんは69歳で、認知症もなく自身で公共機関を使い外出する事が出来る方です。ホームに入所された経緯が、奥さんが亡くなられ、男所帯での生活が食に関しても、その他洗濯や掃除に関しても難しくなり、またうつ病の発症があります。まだまだ自分でなんでも出来る ADL. I AD Lがあるのですが、抑うつ的で心気症状が顕著な方でした。定期的に抑うつ、心気症状が現れ「自分はもう何もできない、もうすぐ死んでしまう、なんにもしたくない」という状態になられていました。そんな中、スタッフとの些細なやり取りから「なんにもしたくない、ご飯も食べても意味がない、食べない方が病院にいける」と言い拒食されるようになりました。1日目は夕食から拒食だったため様子を見、2日目は3食拒食。3日目も朝昼拒食。さすがに生命に何かあってはという事で介入。話をお聞きすると、なんにもしたくない、何にも出来ない、入院させてほしいという訴えのみ。ゆっくり時間をかけ、本人の気持ちが少しでも上向くように対応しました。まずは、1番出来ない事は?と聞くと洗濯と。洗濯の援助を行う事を提案すると納得されました。ただ、干す事は自身でして欲しいとお願いすると「わかった」と。次にお風呂に入れないと。職員が見守る中、自分で入ってみては?と提案すると、それなら安心と納得されました。本題の拒食。洗濯は変わりに出来るけど、ご飯だけは変わりに食べても意味がない…食べてもらえないか?と話すと、頑なではありましたが最後には夕飯から食べようと。結果、ハンガーストライキのような拒食でしたが、あるスタッフの話にはならず拒食についてはとりあえず回避出来ました。それから半月ぐらいして、Kさんからスタッフとのやり取りを聞きました。どうしたらよいか?聞くともうどうもしなくてよいと。一連の出来事について該当スタッフとも会議で話し、今後はKさんの性格、性質に合わせた対応をと話しています。
対応者の中での対応
良かった点は、Kさんの対応に少し時間を置いた事。自立度の高い方なので、自己処理能力をある程度持っておられるため解決に繋がった。また交換条件ではないが、Kさんが出来る事、私達が出来る事を提案し折り合いをつけた所。本当は洗濯援助も入浴援助も必要ない方だが、Kさんの性格からかまって欲しいという思いがあるため、少しでもスタッフはあなたを気にしているという間接的な援助は有効だったと思う。悪かった点は、2日目あたりで介入すべきであった。
今後同じ事例が起きた時の対処法
どんなに元気な方でも喪失経験があったり、自身の身体に関する不安があったり、認知症状があったりと色々なケースがあり、また1人1人性格、性質を持った一個人である。援助者が「これは出来る」と判断してもご本人にとっては不安だったり、負担だったりすることもあるため、本人と話をして自立を損なわずに折り合える点を見つけていくことがどんな場面でも必要だと思う。また、Kさんのようなケースだと「甘えている」などと思うスタッフも存在する。今回のトラブルの理由もそのような物であった。その方に合わせた対応が援助者には求められると考え、またそのやり方に批判が出る事も想定できるため、会議など共通認識する必要性もあるかと考える。Kさんがどのような状況になれば心身の健康が保てるか、そこを一番に考慮するような対応を援助者みんなが行う事がより良い結果に繋がったと思う。
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