介護施設の事例

グループホームの利用者からスタッフへの暴言、暴力事例

事例データ

投稿者

対応者

対応者 介護職員

性別 女性

お相手

対応者

寝たきり度 わからない

認知症の状況

性別 女性

Kさんは精神疾患をお持ちの女性です。

認知症の症状はこれと言ってなく、なぜ入居できたのか疑問でした。

共同生活が不向きな方で居室からの騒音、大声や他ご利用者、スタッフへの悪態、暴言は聞き流せるようなものではありませんでした。

その日も他ご利用者に「笑い声が汚い、大嫌い」と喚き散らすので注意したところ、腹部への高速パンチを10回前後受けました・・・

数日後には「ここから出て行け」「笑うな」「喋るな」等、私への不満を大声で叫んでいました。

近くまで行き他のご利用者が怖がっている事を伝えると、両手で私の胸元を力一杯押してきたのです。

すごく痩せている方なので、力加減でのダメージはそれほどのものではありませんでしたが、精神的なダメージは言葉では表現できない程でした。

良かった点

まず、暴力的な行為が出た際、私は反応して止めに入れたことはよかったと思っています。

危険な状況を放置しなかったこと、利用者や他のスタッフに被害が広がらなかったことは良かった点です。

また、最初のパンチや暴言といった行動があった後も、感情的にこちらが引きずられず、冷静さをできるだけ保てた点も良かったです。

改善点

ただ、この事例で強く感じるのは、暴力行為が繰り返される前段階での予防対応が不十分だったことですね。

Kさんが大声をあげたり他利用者に向けた発言を始めたとき、もっと早く“その気配”を察知して事前の声かけや環境調整(距離をとる・人を増やす・見守り強化など)を行うべきでした。

加えて、職員間でこのようなトラブルの対応策やパターンを共有し、統一された対応マニュアルを整備しておけば、急な事態でも迷いが少なくなります。

最後に、被害を受けた側のスタッフのケアや支援も抜かせません。

怪我が軽くても心に傷を負っている可能性があるので、チームで振り返りをして、支援者自身が支えられる体制も整えておきたいところです。

先輩福祉士からのコメント

なぜこのようなことが起きるの?

Kさんの暴言・暴力行為は、共同生活という環境ストレスと精神的負荷の蓄積が一因でしょうね。
認知症や精神疾患を抱えている方は、予期せぬ刺激や環境の変化、対人関係の緊張感に敏感になりやすく、感情の制御がききにくくなることがあります。
こういう状態を放置しては絶対にいけません。

分析とアドバイスは?

まず、暴力発生前の“違和感”や“小さな破綻サイン”(声かけ拒否、表情の硬さなど)を見逃さない観察力を養うことが重要です。 次に、Kさん専用の予防プランを立てて、行動障害的な反応が出る前に気をそらす音・光・動線などの環境調整を行いましょう。 また、スタッフ全体での暴力対応マニュアルを整備し、発生後の心理ケア(トラウマ反応を軽減する振り返り・支援)を制度化することも不可欠ですよ。