介護施設の事例
施設名: 訪問介護(ホームヘルプ)
利用者がお気に入りのヘルパーを贔屓する事例
対応者
対応者 サービス提供責任者
対応者 女性
お相手
寝たきり度 J2
認知症の状況 Ⅰ
性別 男性
事例・対処法の要点まとめ
利用者がお気に入りのヘルパーを贔屓する
ヘルパーから「他の仕事も経験させてほしい」と頼み、問題は収まった
利用者の意見を尊重しつつも、それに甘えすぎない。それでも困った時は周囲に相談する
トラブルが起きた背景
Yさんは左半身麻痺の独居男性ですが、介助があれば外出や日常動作ができ、デイサービスにも通う社交的な人です。
デイの送り迎えと食事の用意等で週3回ヘルパーが入っていたのですが、Yさんは自分が気に入ったヘルパーにはきつい仕事はやらせないという困った癖がありました。
Yさんはポータブルトイレを利用していて、ヘルパーが入った時に処理していました。
お気に入りのヘルパーには「そんな汚いことやらなくていいよ。それより料理に時間をかけてほしい」と甘くしてしまいます。
じゃあ溜まったものはどうするんですかと聞くと、「明日○○さんてヘルパーが来るから。その人にやらせるよ」とのこと。
とはいえ、1日以上トイレの中のものを放っておくと悪臭や虫が湧いてしまい、処理を任されたヘルパーさんにも「どうして前の人は処理しないんですか?」と疑問視される始末。
どうやら可愛い女性には弱いというYさんに、ケアマネージャーからも話してもらいましたが「いいんだよ、うちのことなんだから」と埒があかずヘルパー同士でも「あの子は贔屓されてる」と険悪な雰囲気になりかけました。
たまりかねた該当ヘルパーが「私に話させて下さい」と関係者の許可を得てYさんを説得することに。
自分はまだまだ未熟なので、他の大変な人の所に入る前にYさんの所で色んな経験をさせてほしいと持ち上げるように頼むと、Yさんも渋々承諾。
以来、Yさん宅に新しいヘルパーが入る時には「仕事は平等にやらせてあげてね」とケアマネージャーが付け加えるようになりました。
対応者の中での対応
まだ70歳と若いYさんは、意思はしっかりしていて少しなら家事もできるため、家の中のことは自分で決めたいという意見が極端な形で反映されていたようです。
周囲に言われるほど意固地になる性格ということは関係者全員が知っていましたので、「お気に入りのヘルパーからの頼み」という形にすることで角を立てることなく収まりました。
今後同じ事例が起きた時の対処法
ヘルパーの仕事は利用者さんが生活している家に入ってから始まるので、相手の意見ややり方を尊重するのは重要なことです。
しかし、仕事内容については様々な関係事業所が相談した上で決めているので「やらなくていいよ」と言われたことは、結局他の誰かが片付ける結果になることを忘れてはいけません。
お互い人間である以上、利用者さんと関わる内に相性の良し悪しや贔屓は少なからず生まれてきます。
ただ、そこに甘えてしまうと最終的には利用者さんの不利益となることがあります。
困ったことはとにかく相談して、最後まで責任を持って仕事ができる環境を作り上げていきましょう。
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