介護施設の事例

特別養護老人ホーム利用者家族のクレームにおける退所要求事例

事例データ

投稿者

対応者

対応者 介護福祉士

性別 女性

お相手

対応者

寝たきり度 B1

認知症の状況 Ⅲa

性別 女性

朝、夜勤者が離床のため部屋に行った際に、Mさんがベッドから転落しており、内出血ができました。

すぐに娘さんに連絡し来ていただいたのですが、娘さんが施設に責任追及をされました。

娘さんは母のことを誰も見ていない、全く誠意のない対応をされたと5時間近く罵倒され、説明した介護職に平手打ちをしました・・・

その場は謝罪を行いましたが、後日説明した介護職がそのことを理由に退職

また、施設としてはこれ以上Mさんを預かるのは危険と判断し、退所要求を行うことに決定しました。

良かった点

夜勤者がMさんの転落にすぐ気づき、迅速にご家族へ連絡を入れた対応は最低限の責任を果たすことができたと感じています。

また、事故発生後に誠実な姿勢で謝罪し、状況を丁寧に説明しようとした点も、職員として当然の行動ではありますが評価されるべき点だったと思います。

感情的にならず冷静に対応を続けたこと、そしてその後の施設としての判断(Mさんの安全確保が困難との見解)は、ご本人の今後のためにも必要な決断だったと感じています。

感情的なご家族対応に対しても、暴力を受けるという厳しい状況下で、我々職員が一線を越えず冷静に対応した姿勢は、自身の職務意識として誇りに思える部分です。

改善点

最大の反省点は、Mさんの転落事故そのものを防げなかったことです。

日頃からの見守り体制や離床センサーの活用、転倒リスクに対する事前の情報共有が十分だったかを振り返る必要があります。

また、ご家族への説明において、初動での言葉選びや感情のケアが不十分であったことが、ご家族の強い不信感と怒りに繋がったと考えています。

結果として、暴力という最悪の事態を招き、大切な同僚が退職する事態にもなってしまいました。

事故後の対応マニュアルの見直しや、職員への危機対応研修の強化が急務だと痛感しています。

施設全体としても、信頼関係の構築にもっと力を入れる必要があると感じました。

先輩福祉士からのコメント

なぜこのようなことが起きるの?

Mさんの転落事故は、夜間の見守りが十分でなかったか、離床予兆を見逃した可能性がありますね。
認知症の進行した方や要介護高い方は、夜間に無意識に起き上がろうとすることがあるので、ルーチンの見守りやアラーム配置が不十分だと大きな事故につながってしまいます。
事故後の家族との信頼関係が崩れたのも避けられない流れになってしまったのですね。

分析とアドバイスは?

まず、事故予防の観点から、夜間見守り体制の強化と転倒予兆アセスメントの定期実施が不可欠です。 具体的には、離床センサー・ベッド柵・ナースコールの設置状況を点検し、安全マットの導入など環境面の整備も有効です。 また、事故後は冷静・透明性ある説明が必要で、謝罪だけでなく、事故原因と再発防止策を具体的に提示することが信頼回復につながります。 さらに、スタッフの危機対応研修とストレスケア体制を整備しておくべきですね。