介護施設の事例

認知症の方がスタッフを杖で殴った事例

事例データ

投稿者

対応者

対応者 介護福祉士

性別 女性

お相手

対応者

寝たきり度 J1

認知症の状況 Ⅲa

性別 男性

Iさんは愛妻家、重度の認知症を患っており、ご家族の希望によりIさんの奥様(寝たきり、要介護5)と2人での施設入所をされていました。

昼食を過ぎた頃、ほとんどの患者さんは自室で時間を過ごされていました。

ところがIさんは落ち着きのない様子で施設内を歩き回り、なんと女性の4人部屋へと入っていってしまいました・・・

女性の患者さんが困ると思い、お声掛けと誘導を行うために私も入室。

しかしIさんは私を見るなり焦ったのか「妻を探しているだけだ!」と激昂し、持っていた杖で私を2回殴ってきたのです。

更に、Iさんは杖を振り回した影響で自身の体のバランスを崩し、転倒してしまうのでした。

良かった点

すぐさまIさんへ声掛けし疼痛の有無を確認、動かないよう指示し他スタッフへ応援を頼みました。

バイタル測定後、骨折が無いことを確認してIさんの自室へ戻りベッドで休んでいただきました。

私は肩と脚を杖で殴られており、脚に関しては内出血を起こしていたことを確認しました。

暴力行為、転倒に関するヒヤリハットを2点提出。

良かった点としては、フロアの見守りを行っていたことで、女性部屋への侵入をすぐに見つけられたことです。

もう少し早ければ、侵入前にお声掛けできたと思いますが間に合いませんでした。

改善点

Iさんの行動を把握し、Iさんの奥様との面会時間を定期的に設けることで、今回のような「奥様を探すための行動」は防げたのではないかと思います。

ヒヤリハットをスタッフ間で共有し、再発防止へ努めていくことが大切かと思います。

先輩福祉士からのコメント

なぜこのようなことが起きるの?

Iさんにとって「妻を探す行動」は、重度の認知症の中でも非常に切実な思いだったのだと思いますね。場所や状況の理解が難しい中で、不安と焦りが高まったところに声を掛けられたことで、「制止された」「邪魔された」と感じ、自己防衛として攻撃行動が出てしまったのでしょう。これは怒りというより、混乱と恐怖からくる行動だったと捉える必要がありますね。

分析とアドバイスは?

認知症の方の暴力行為は、行動そのものではなく“背景のニーズ”を見る視点が欠かせませんね。今回のようなケースでは、夫婦関係というIさんの人生史を支援計画に組み込み、奥様との定期的な面会や「会える見通し」を言葉や掲示で示すことが有効です。また、単独対応は危険ですから、BPSDが想定される場面では複数名対応を基本とし、刺激を減らす環境調整を徹底しなければいけません。