介護施設の事例

施設名: 通所介護(デイサービス)

脳血管疾患の方が訪問介護を止めた事例

対応者

対応者

対応者 ケアマネージャー(介護支援専門員)

対応者 女性

お相手

対応者

寝たきり度 A1

認知症の状況 わからない

性別 男性

事例・対処法の要点まとめ

支援が必要な利用者が途中で訪問介護を止めた。

ケアマネージャーのYさんは高齢で、身体に障害をもつSさんには支援が必要であり、日中は勤務で不在のTさんにはSさんが必要としている銀行手続きや通院・日常の買い物の介助がしきれないことを説明しました。 また、要介護認定を受けているSさんの場合は介護保険が適用されるため、訪問介護の自己負担額は1割で済むことを息子さんからも話してもらったのですが、Sさんは「いいんです」と言うばかりで訪問介護を継続しようとしませんでした。 ケアマネージャーのYさんはできるだけの説明をしたつもりでした。 しかしSさんが訪問介護を断った理由は、費用とは別なところにありました。 昭和ひと桁生まれのSさんは、当主である自分の介護は他家に嫁いだ嫁か、長男Tさんの妻がすべきものだと考えていました。 従って外部の支援を受けることは、Sさんからみて嫁にあたるTさんの妻が<なすべきことをしていない>ことを地域の人に知られてしまうことになり、たいへん不面目だと考えていたのでした。 また資産家であるSさんにとっては、介護保険で費用がカバーされるかどうかは大した問題ではなかったのです。

福祉の世界に身を置いているケアマネージャーのYさんにとっては、世代が違うSさんの価値観がよくわからず、制度の説明はしたものの、本当の問題を把握することができませんでした。 またA事業所に息子Tさんが相談に来た際も、Sさんには支援が必要なことで合意していたために、まさか当事者であるSさんに断られるとは思わなかったのだと考えます。 望ましい対応としては、まずは利用者本人からの依頼ではないので、当人の意向を確認する必要がありました。 またSさんの本音を探り当てることができれば、息子Tさん夫婦の協力を得てSさんが一人でいる時の転倒や火傷、火事などを心配していることや、公的な支援を受けることは身内の恥ではないことを口添えしてもらえた可能性があります。 年若いYさんには難しかったかもしれませんが、これまで介護は家族が担ってきたこと、保守的な地域では今でも<家族の介護は妻や娘、嫁にあたる人がするべき>という価値観があることに留意する必要があったと思います。

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トラブルが起きた背景

Sさんは妻の死後一人で暮らしていましたが、脳梗塞で半身が不自由になりました。
同じ敷地内に息子夫婦が住んでいますが、息子の妻はSさんの娘と折り合いが悪いためにSさんとは必要最小限の接触しかもたず、Sさんの身辺の世話はSさんの息子Tさんが主に担っています。
しかし、日中は仕事をしていてSさんの食事の用意や買い物・通院の介助まではとても手が回らないため、生活援助を求めてA事業所に相談しに来ました。
ケアマネージャーのYさんが対応し訪問介護に入ることにしましたが、Sさん本人の心理的抵抗のため、ひと月もせずに生活援助を断られてしまいました。

対応者の中での対応

ケアマネージャーのYさんは高齢で、身体に障害をもつSさんには支援が必要であり、日中は勤務で不在のTさんにはSさんが必要としている銀行手続きや通院・日常の買い物の介助がしきれないことを説明しました。
また、要介護認定を受けているSさんの場合は介護保険が適用されるため、訪問介護の自己負担額は1割で済むことを息子さんからも話してもらったのですが、Sさんは「いいんです」と言うばかりで訪問介護を継続しようとしませんでした。
ケアマネージャーのYさんはできるだけの説明をしたつもりでした。
しかしSさんが訪問介護を断った理由は、費用とは別なところにありました。
昭和ひと桁生まれのSさんは、当主である自分の介護は他家に嫁いだ嫁か、長男Tさんの妻がすべきものだと考えていました。
従って外部の支援を受けることは、Sさんからみて嫁にあたるTさんの妻が<なすべきことをしていない>ことを地域の人に知られてしまうことになり、たいへん不面目だと考えていたのでした。
また資産家であるSさんにとっては、介護保険で費用がカバーされるかどうかは大した問題ではなかったのです。

今後同じ事例が起きた時の対処法

福祉の世界に身を置いているケアマネージャーのYさんにとっては、世代が違うSさんの価値観がよくわからず、制度の説明はしたものの、本当の問題を把握することができませんでした。
またA事業所に息子Tさんが相談に来た際も、Sさんには支援が必要なことで合意していたために、まさか当事者であるSさんに断られるとは思わなかったのだと考えます。
望ましい対応としては、まずは利用者本人からの依頼ではないので、当人の意向を確認する必要がありました。
またSさんの本音を探り当てることができれば、息子Tさん夫婦の協力を得てSさんが一人でいる時の転倒や火傷、火事などを心配していることや、公的な支援を受けることは身内の恥ではないことを口添えしてもらえた可能性があります。
年若いYさんには難しかったかもしれませんが、これまで介護は家族が担ってきたこと、保守的な地域では今でも<家族の介護は妻や娘、嫁にあたる人がするべき>という価値観があることに留意する必要があったと思います。

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