介護施設の事例

施設名: 訪問介護(ホームヘルプ)

訪問介護(ホームヘルプ)サービス提供責任者脳血管疾患

対応者

対応者

対応者 サービス提供責任者

対応者 女性

お相手

対応者

寝たきり度 J1

認知症の状況

性別 男性

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トラブルが起きた背景

Wさんは独身でしたが、同居していたお兄さんが亡くなり独居になったのをきっかけに、元々体が弱く一人では家事ができないという理由で訪問介護を入れることになりました。
身体介護はなく買い物と調理のみのサービスだったので、60代で資格を取ったばかりのヘルパーさんに担当として入ってもらいました。
Wさんは比較的若い利用者さんだったので、ヘルパーの方が年上という珍しい状況でしたが、ずっとお母さんをはじめとするご家族に家事をしてもらっていたWさんは却って安心できたようでした。
ただ、お互いに訪問介護に関わるのは初めてだった二人は、あまり深く考えずに連絡先を交換してしまったのが騒動の始まりでした。
Wさんはヘルパーが訪問する前に電話して、「来る前に買い物に行ってきてほしい」「そうすれば調理の時間がゆっくり取れるから」等の理由で色々と用事を頼むことに慣れてしまい、ヘルパーも「どうせ通り道にスーパーがあるし」と時間外労働を気軽に引き受ける状態が会社の知らぬまま続いてしまいました。
直接連絡できてしまうため、Wさんは訪問時刻の変更や次回の調理のリクエストなどもヘルパーに直接頼むのが当たり前と思うようになり、エスカレートして悩み相談やお金の管理など、生活をヘルパー頼みにするようになってしまったのです。
元々家族に頼り切りで精神的に弱い所があるWさんは、最終的に他家の訪問中や夜中までヘルパーに電話をかけ続けるようになり、「これって大丈夫でしょうか?」と困り切ったヘルパーの報告で、ようやく相談員や会社も異変に気づきました。
明らかな規則違反でもあるためさすがに放っておく訳にはいかず、ヘルパーに厳重注意と解任の宣告をした上で担当者会議が開かれ、Wさんにもその旨を伝えました。
が、すっかりヘルパー頼みに慣れたWさんは「じゃあ、それでいいかどうか彼女に連絡するよ」と言って携帯を手に取る始末。
お金をもらって会社と契約している以上、直接連絡は違反にあたるので、今後交代するヘルパーにも連絡先は聞かないようにと注意をしても、Wさんは「じゃあ俺はこれからどうやって暮らせばいいんだよ」と理解できない様子。
「彼女が来ないならヘルパーなんか頼まないよ」と啖呵を切ったWさんでしたが、一人では調理もゴミ出しもできないため、結局相談員の勧めで2週間ほどで再契約となり、別のヘルパーが入ることになりました。

対応者の中での対応

基本的に月ごとのモニタリングで利用者さんの様子やケア内容をヘルパーに聞いてはいたのですが、ケア内容とは違うことを頼まれたら断る、という最低限の規則を、ヘルパー、利用者ともに理解していなかったのが最大の原因でした。
ヘルパーは家政婦とは違うということが、Wさんにはわからなかったようです。
確かに訪問前に買い物等の用事を済ませておけば時間短縮にはなりますが、それを「簡単なこと」「会社に言うまでもないこと」と軽く考えてしまったために、最後にはヘルパー自身も日常生活に支障が出るほどの大事になってしまいました。

今後同じ事例が起きた時の対処法

介護の報酬というのは、利用者単体から出ているわけではありません。
国が集めたお金を保険という枠組みの中で使うのですから、例外や特別は認められません。
高齢者は家政婦とヘルパーを同じように考えがちですが、働くための仕組みは全く違います。
決められた時間の中で決められたケアを行う、と言うと冷たく感じますが、ボーダーラインをはっきりさせておかないと、結局は関係者全員が困ってしまいます。
なまじ生活に入り込むことが多い仕事だけに、「これぐらい大したことじゃない」という意識は決して持たないのが介護職の最低限の基本だと思います。

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