介護施設の事例
施設名: 訪問介護(ホームヘルプ)
利用者がヘルパーからのケアを拒否した事例
対応者
対応者 サービス提供責任者
対応者 女性
お相手
寝たきり度 C1
認知症の状況 Ⅱa
性別 女性
事例・対処法の要点まとめ
利用者がヘルパーからのケアを拒否した
娘さんに協力を仰ぎ、説得してもらったことで受け入れてもらえた
ヘルパー交代は利用者にとっては一大事。信頼関係を徐々に築いていく。時には周囲の協力を仰ぐ
トラブルが起きた背景
Aさんは軽度の認知症で、全体的な筋力低下のため一人では動けずほぼ寝たきりの女性でした。
排泄と食事介助のため、他事業所からの引き継ぎでヘルパーが入ることになり、とても小柄で優しい方なので最初のうちはケアも難なく終われました。
しかし、ヘルパーが入った何度目かに「用事があるから娘を呼んで」「こういうことは娘がやるから」と言ってケアを拒否するようになりました。
そもそも同居の娘さんが日中は仕事でいないからケアを頼んでいます。
ヘルパーが戸惑っていると「こんな情けない姿、他人には見られたくない」「今までずっと一人で何でもできたのに」と突然泣き出したそうです。
とはいえAさんが寝たきりになったのはもう何年も前。
以前の事業所がヘルパー不足になったのでうちが引き継いだだけで、同じケアをもう何年も受けているはずなのです。
相談を受けてケアマネージャーに確認をしたところ「またその症状が出ましたか」と苦笑い。
どうやらAさんはヘルパーが変わってしばらく経つと、寝たきりになったばかりの頃の記憶が甦って、現実とごっちゃになってしまうのだそうです。
「出る時と出ない時があるので言わなかったのですが」と言われましたが、出てしまったからには仕方がない。
娘さんにも協力してもらいケアの時に部屋に入ってもらって、娘さんからAさんに改めてヘルパーの紹介をしてもらいました。
「お母さん、今日から日中はこの人にお世話をお願いします。私の知り合いで信頼できる人だから」
何度もそう言い聞かせると、ようやくAさんは首を縦に振って拒否なくケアを受けてくれたのです。
それからは「娘の知り合いなのよね」「娘に頼まれたのよね」とヘルパーが入る度にAさんは確認し、「はい」と答えると安心して過ごしてくれるようになりました。
対応者の中での対応
ヘルパー交代という事態は介護関係者には日常茶飯事でも、利用者さんにとっては一大事だったようです。
報告を受けてすぐにケアマネージャーが娘さんに協力を仰いでくれたことで、拒否の期間は短くて済みました。
今後同じ事例が起きた時の対処法
認知症の方はどんなに軽度でも、常に記憶に不安を抱えて過ごされています。
そのため、よく知らない人間からのケアを拒否するのは充分想定できることです。
大事なのは、少しずつでも信頼関係を築くことだと思います。
ただ、寝たきりの方や重度の障害で日常生活に継続したケアが必要な方の場合は、信頼を得るまでの期間ケアをしないわけにはいきません。
そのためには自分だけでどうにかしようとはせず、既に信頼を得ているご家族や関係者の協力を仰ぐことも考えてみてください。
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